「使えない辺野古」がなぜ「唯一の解決策」なのか

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有事のときは那覇空港を使う

 

辺野古新基地が「使えない」とはどういう意味なのか。最大の要因は「キャパ不足」だという。

 「辺野古案は普天間飛行場の38%のキャパしかありません。これでは有事に対応できないのです」(小川氏)

 日本に展開している米海兵隊第1海兵航空団は456機を保有し、日本への配備は約100機。在日米海兵隊の航空基地は普天間のほか岩国基地(山口県岩国市)があるが、有事には「普天間だけで300機規模に膨れ上がり、それだけの収容能力が必要となる。

同時に海兵隊の飛行場は45万人規模の陸上部隊と装備品を受け入れられなければならず、「少なくとも普天間の広さは不可欠」(小川氏)という。

 これを裏付ける記事が17412日付朝日新聞に掲載された。

米政府監査院(GAO)が発表した米海兵隊のアジア太平洋地域の再編に関する報告書で、「米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の同県名護市辺野古への移転計画に関し、移転先の滑走路が『特定の飛行機には短すぎる』と指摘した。GAOは、同県内で代替の滑走路を探すよう求めている」というのだ。

 報告書はさらに、「現行の普天間飛行場の滑走路(約2700メートル)はオスプレイのような回転翼がついた航空機や、災害時の国連の緊急対応など様々な用途で使われていると説明。そのうえで、辺野古に建設される予定の滑走路は『同様の作戦の要件を十分に満たさない』と指摘」している。

 同報告について小川氏はこう解説した。

 GAOは日本の会計検査院と行政監察の機能を高いレベルで兼ね備えた組織で、国防総省の戦略的判断や装備の調達計画をも修正させるパワーを持ちます。米国側は現行の辺野古案の不備を認識しつつ、日本政府に付き合ってきた面があるのですが、マティス国防長官の時代になってリアリティを優先する雰囲気が出て、GAOも腰を上げたのかもしれません」

 米軍再編で普天間の移設先が現行案に決まったあとの2010年、米国防総省の高官は小川氏にこう説明したという。

「普天間問題は早く決着をつけ、日米同盟が安定的に運用されているのを中国に見せることを最優先しました。海兵隊には泣いてもらいましたが、辺野古は使い物にならないので、有事の際は那覇空港を使うことになります」

 有事には民間機の発着が限定される那覇空港を海兵隊航空基地に充てるというのだ。

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