もう1本おすすめ「素晴らしき哉、人生!」
橋本光二郎の映画人生において、決定的な影響を与えたのがフランク・キャプラの古典的大名作「素晴らしき哉、人生!」(1946年)だ。
クリスマスイブ、主人公のジョージ・ベイリーはある不幸な出来事を機に自殺を決意する。そこに現れた天使が、自分なんか生まれなければよかったと思う主人公のために、もし彼が生まれなかったら……という仮定の世界を見せる。果たして、彼は本当に誰の役にも立たない人生を送ってきたのか?
原題は「It’s a Wonderful Life」。タイトルにふさわしく、映画はハッピーエンドに向かっていく。
「初めて観たのは16歳のときでしたが、あぁもっと人は信じていいんだなと思いました。46年という日本にとって戦争が終わったばかりの時代の作品ですよね。それが時代を超えて、日本に生まれた僕がこれだけ感動する。映画ってなんて素晴らしいんだ、と思わされた一作です」
橋本は自身の映画観にも強い影響があると語る。
「キャプラみたいに、僕が作る映画は、観終わった人が背中を押してもらったと思えるようなものでありたいと思います」
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【本稿は『週刊AERA』2019年5月27日号を転載しました】