米軍再編計画の行方~米国防権限法案成立を前に

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「見直し」の意思表示

8月中旬、屋良朝博衆議院議員(新外交イニシアティブ評議員)とワシントンを駆け回った。夏休みで多くの人々が街を離れ、議会も閉会中。「成果があるか」と思いつつ動き始めたが、ふたを開けてみると「時には、この時期を狙った方がいいのでは」と思う程に充実した結果となった。国務省・国防省や議会のスタッフも著名な専門家も、じっくり時間をとってくれ、情報収集に始まり米議会対策まで、有意義な意見交換ができた。

今回の訪米で最も集中して情報収集をし、働きかけを行ったのは国防権限法案(2020年度予算)についてである。同法は、毎年制定される予算法であり、広く世界中に展開されている米軍の活動に関する予算を決定する法律である。

米連邦議会には上院と下院があり、それぞれが異なった法律案を審議して可決する。両院の可決した案が異なる場合には両院協議会ですり合わせた上で一本の最終的な法律にする。

夏休み前、上下院は国防権限法案をそれぞれの内容で可決しており、訪問時には、9月第2週からの議会再開を待ちながら、補佐官らが両院協議会に向けての事前すり合わせを開始しようかという段階であった。

上院で可決された国防権限法案に次のような条文がある。

「1255条:(a)見直し(REVIEW):沖縄における米海兵隊のプレゼンスを削減する喫緊の必要性、および、インド・太平洋地域における米軍の体勢の適正化を加速する喫緊の必要性に鑑み、国防長官は、必要に応じて日本及び他国の政府と協議を行いながら、日米安全保障協議委員会(注:2+2)の共同声明(12年発出および13年改定)の実施のために予定する沖縄、グアム、ハワイ、オーストラリアおよび他の場所における米軍の配備計画について、見直し(review)を行う。」

要するに、これは「現在の米軍再編計画を一度見直す必要がある」という上院の意思表示である。

辺野古新基地建設は、06年の日米合意「再編実施のための日米のロードマップ」で規定されており、米軍再編の一環に位置づけられる。国防権限法案の条文は、辺野古基地建設について何らかの具体的方向性を示しているものではない。しかし、辺野古基地建設をも包含する米軍再編で決められた米軍の配備計画について「沖縄における米海兵隊のプレゼンスを削減する喫緊の必要性」に鑑みて、再検討(review)せよといっているというのは、非常に大きな意味を持ちうるものである。

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