国家という暴力に対する抗いは暴力にあらず 抵抗だ 「抵抗―国家という暴力との闘い―」

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本書では、氏のこれまでの報告書をベースにして、各章の最後にわたしの知識と思いと考察などを補足として綴りました。

宮城秋乃氏は沖縄島の国頭村と東村にまたがる米軍北部訓練場返還地で大量に発見されている米軍廃棄物の調査をしながら、米軍基地があることによる人災や問題、また日米関係の在り方にも問題提起をし続けてきた。そもそも氏はチョウや生き物が好きなことから、希少生物の調査をするために、やんばる(沖縄島北部の森)に入っていた。その延長線上に、米軍廃棄物の調査が加わってしまったことはあまり認知されていない。

孤独な闘いの経緯

わたしは宮城秋乃氏のこれまでの苦悩しか詰まっていないであろう孤独な闘いと、その上に遠慮なく圧し掛かる巨大な国家という暴力にも屈しない思いと姿勢の経緯を知っている。その為、「パッと出てきて、唐突に弾薬を投げつけた」と端的に批判する世論こそが、批判されるべきであることを伝える必要があった。

米軍北部訓練場の一部である約4000ヘクタールの土地が2016年12月22日に日本へ返還された。約1年間の支障除去を経て、土地所有者へ引き渡された。返還された土地は、すぐさまやんばる国立公園に編入され、現在は世界自然遺産となっている。そのような「自然豊かな森」を彷彿とさせる言葉とは裏腹に、多くの米軍廃棄物が宮城秋乃氏によって発見されている。

弾薬、野戦食の袋、ドラム缶、ブーツ、ビン、缶はもちろん、有害物質DDT、PCB、BHC、放射性物質コバルト60などにより、土壌汚染が現在進行形で放置されていたのである。これは紛れもなく国家の跡地利用特措法違反である。

しかし国家は「跡地利用特措法に基づいて、適切に支障除去を完了した」と隠蔽し続けている。廃棄物の発見された付近には小川もあり、この小川は沖縄島に広く供給・水源とされるダムへ続いている。この由々しき事態を一刻も早く改善させようと、氏は座り込み、スタンディング、政府交渉、記者会見、要請行動、発表、講演、発信といったあらゆる方法で、米軍廃棄物が森を汚し、生き物を脅かし、飲み水が汚染され続けることを危惧してきたのである。

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