寄付金の使途はどうなる?
念頭にあるのは、2012~21年度の国の沖縄振興計画を県主体で策定した実績だ。
「費用面などの懸念があったとしても、今回も県が策定主体になると宣言してもよかった」(島田氏)
県主体で策定した沖縄振興計画には、こんな一節がある。
「県民主導で沖縄を創造する新たな時代に入っていくこととなります。抜本的に改正された沖縄振興特別措置法によって、沖縄振興計画の策定主体が国から県に移行するとともに、より自由度の高い交付金制度が創設されるなど、沖縄の自主性・自立性がより発揮できるようになりました」
県民の中には、国主導による復元が「後退」に映る人々もいるのだ。島田氏はこんな懸念も示す。
「復元計画の策定に県がいかに主体的にかかわるのかが問われています。しかし、県がどういう戦略で主導的役割を果たすのか現状では見えません。国が設置した委員会などで、県が意見を言うだけのスキームしかないようにも映ります。これから策定される復元計画が国の意向が強く反映された案になってしまえば、将来的に首里城に対する県民の愛着が薄れてしまう恐れもあります」
一方、県や那覇市、地元マスコミに寄せられた寄付金は10億円を超えている。これについて地元紙記者はこう内実を明かす。
「県から国に寄付する場合、建物に使ってくださいなどと使途を定めることはできません。国主導の再建になれば、寄付した人の思いが置き去りになる可能性もあり、県はまだ寄付金の使途を決めきれずにいます」
県の主体性をどう示すか。政府が復元に強い意欲を見せていることに県側は「辺野古問題での譲歩はない」と強調するが、対応を誤れば、玉城県政の求心力低下にもつながりかねない。
【本稿は『週刊アエラ』2019年12月23日号を加筆転載しました】