沖縄タイムスと共同通信が合同取材で特報した、辺野古新基地を陸上自衛隊が米軍と共同使用する問題は、自衛隊制服組による二重の裏切り行為といえる。それは、シビリアン・コントロール(文民統制)からの逸脱と沖縄の人々に対する背信である。
報道によると、完成後の辺野古新基地に陸上自衛隊版海兵隊といわれる水陸機動団が常駐し、米海兵隊とともに共同使用する案は2015年、陸上自衛隊トップの陸上幕僚長と在日米海兵隊トップの司令官との間でひそかに合意した。
岸信夫防衛相は国会で、報道通りの計画があったことを認めつつ、「(現在)そういう計画はなく、考えていない」と述べた。さらに「陸自のみで決めることはなく防衛省全体の議論で決まるものだ」とも語っている。
岸氏の言葉からは、陸上自衛隊が先行し、防衛省内でも何らかの検討があったことをうかがわせる。
だが、この進め方は危うい。既成事実をつくり、撤退するのが困難な状況となって、のめり込むほかないという結論に至る可能性があるからだ。
暴走し、戦線を拡大していった旧日本陸軍の手法と重なるものがある。先の大戦の反省から、わが国は政治が軍事を統制する文民統制を導入したが、いつか来た道を思い起こさせる。