自衛隊制服組の二重の背信~辺野古新基地「日米共用密約」の問題点

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先達の努力を踏みにじる行為 

姑息なのは、辺野古新基地に対する反対運動の矛先を米軍に向けさせ、完成後、ちゃっかり入居しようと考えていることだ。1972年の本土復帰当時、沖縄に配備され、懸命に地元に溶け込もうとしてきた自衛隊の先達の努力を踏みにじる行為というほかない。

 那覇市に駐屯する第15旅団の前身、第1混成団は同年10月、約100人の隊員が移住して産声を上げた。沖縄は太平洋戦争で唯一、地上戦が行われ、自衛隊に向ける地元の眼は厳しかった。着任した隊員は住民票登録を拒否されたり、成人式への出席を断られたりした。

 しかし、自衛隊機による急患輸送や不発弾処理などの実績を重ねる中で、住民感情は少しずつ変化したようだ。地元出身の隊員は増え、大半の市町村は自衛官募集の事務取り扱いを代行する。

 チーム名のみで参加していた那覇ハーリーは、○○自衛隊と陸海空の所属を明記するように変わり、私服で通勤していた隊員たちがいつの間にか迷彩服姿になったのを気に留めた人は少ないかも知れない。

 密約に等しい日米制服組による辺野古新基地の共同使用案には、2回の国政選挙と知事選挙、住民投票を通して、明確に「NO」を示した沖縄の民意は反映されていない。自衛隊を明記する憲法改正案の検討が進み、もはや足元をみる必要を感じないのだろうか。  

 薄汚れた手口で辺野古新基地に入りこもうとしても地元の理解が得られるはずがない。そもそも軟弱地盤のうえに建設が進むこの基地は、日本が民意を重視する真の民主主義国であれば、とうの昔に計画自体が崩壊している。年内に必ずある衆院選挙が重視される理由である。

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