見えていても認識できないワケ
街頭インタビューを通して見えてきたことは次のようなことでした。
- 1)ローカルの人は観光客向けの飲食店には割高感を持っている
- 2)沖縄の人は看板や店の外観から観光客向けの店だと判断している
- 3)ローカルの人は地元ですでに知っている店に行くため、観光客向けのお店を知らない
- 4)観光客は飲食店についてインターネットで調べている
- 5)移住してきた人にとってローカルの店は敷居が高い
「インタフェースデザインの心理学」(2012年出版、著Susan Weinschenk)では、人間が物をどう見るのかについてこのように説明しています。
人間が物を見るのは、焦点を集中する「中心視野」と、見えてはいるものの直視はしない「周辺視野」がある。対象とする物の詳細な認識は主に中心視野を使うけれど、全体のあらましをつかむためには周辺視野を使う。また、写真の中央部が欠けていてもどこの写真であるかは識別できる。
つまりは、沖縄の人が国際通りを歩いたとしても、飲食店を一軒一軒、認識するわけではなく、国際通りという全体のあらましをつかんでいる可能性があります。そうすると、観光客向けのお店を認識して、記憶しておくことは困難です。
また、人は本能的にパターンを探すため、沖縄の人にとって、観光客向けの看板や店の外観に共通のパターンが存在すると考えられます。
いずれにせよ、ローカルの人と観光客が交わるポイントが飲食店には少ないことが分かりました。
【本稿は『沖縄タイムス』のウェブマガジンWコラム記事より転載しました。デジタル部・與那覇里子、インターンシップ・高江洲茉莉(沖縄国際大学)、朱詩夢(早稲田大学)の3氏が共同取材しました】