二元代表制と自治~沖縄県議会HPで気になる点

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沖縄県議会は、条例案や予算案などを審議するだけでなく、議員間や議員と首長などとの議論を通して、現在の沖縄県の課題などを可視化する場でもある。私も、沖縄県政について調べる際、県議会での議論を参考にさせていただくことも多い。

沖縄県議会でのこれまでの議論は、県議会ホームページ(HP)で確認できる。HPの議会会議録はキーワードで検索することができ、近年では、議会開会中はリアルタイムで議会の審議状況を閲覧できるようになっている。首長である知事と並び、住民の「代表機関」である県議会の活動を知る上で、必要不可欠なページだと言える。

ただ、沖縄県の県議会のHPで気になる点がある。レイアウトについてでだ。パソコン用の県議会HPをもとに説明するならば、ページのヘッダー部分は「沖縄県」となっており、その下に沖縄県議会のページが表示される。このレイアウトは知事の指示や命令を受けて業務を遂行する知事部局の各課のページと同じである。さらに左側に表示される「組織で探す」という部分では、知事部局の各課と同列の扱いのように沖縄県議会が配置されている。

日本の地方自治体は「二元代表制」という仕組みで運営されており、首長と議会は、ともに住民から直接選挙で選出される「代表機関」と位置付けられている。首長である知事と並ぶ住民の「代表機関」である県議会が、知事部局の一部署だと勘違いされそうな現在のレイアウトには違和感がある。

たとえば、議会基本条例を制定するなど、議会活性化に向けた取り組みを行う那覇市議会のHPは、首長部局のHPと背景のレイアウトは同じだが、ヘッダー部分は「那覇市」ではなく「那覇市議会」である。

日本で初めて議会基本条例を制定した北海道栗山町議会のHPは、首長部局のHPとはまったく異なるレイアウトである。

「HPのレイアウトなんて、見栄えだけの問題ではないか。内実が重要だ」と思われる方もいらっしゃるかもしれない。もちろん「内実」は非常に重要である。しかし、住民の「代表機関」であるという「形式」を、HP上で「見える化」することも、地方議会の権限や役割を広く住民に伝えていく上では必要なことではないだろうか。

小論では沖縄県議会のHPを例に挙げたが、県内の市町村、他府県でも同じようなHPレイアウトの地方議会が存在していることも指摘しておきたい。

【本稿は沖縄タイムス 2021年1月21日5面「論壇」に掲載された原稿を転載しました】

<参考>

沖縄県議会HP https://www.pref.okinawa.jp/site/gikai/

ヘッダー部分が「沖縄県」と表記される。レイアウトのほかの知事部局の課と同じ。下へスクールすると左側の「組織を探す」の下の方に「沖縄県議会」が出てくる。知事部局の各課と同列の扱いのように見える。

那覇市議会HP https://www.city.naha.okinawa.jp/sigikai/index.html

那覇市HP https://www.city.naha.okinawa.jp/

北海道栗山町議会HP http://www.town.kuriyama.hokkaido.jp/gikai/index.html

北海道栗山町HP http://www.town.kuriyama.hokkaido.jp/

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