観光関連産業に牽引され「絶好調」ともいえる沖縄経済。一方、足元では不安も…。好調経済に隠れた懸念とは。そして、その懸念を乗り越えることはできるのであろうか。
カネは集まっているのか
地域経済の活性化を考える際、最も大事な点のひとつは、「地域から出ていくカネを減らし、地域へ入ってくるカネを増やす」という視点だ。カネが増えなければ地域の住民の所得の増加にはつながらない。観光業を中心とした沖縄経済の好調さが、地域経済の活性化、そして、住民の所得にまで還元されているのか問われなければ、沖縄経済の内実を理解したことにはならない。
では、沖縄地域にはカネが集まってきているのであろうか。
地域へ入ってくるカネを増やすためには、移出額を増加させ、移入額を減らしてく戦略が重要だ。移出とは、商品やサービスが県内から県外へ移動することを指す。具体的には商品・サービスを沖縄県外や観光客に販売することである。移入はその逆のことを表している。
沖縄地域の移出入額の推移を表したのが図表1である。沖縄地域の移入額、移出額はともに現在まで基本的に増加傾向にある。米国施政権下時代の1970年度と最新データの2014年度を比較すると、移出額では25倍の増加、移入額では9倍の増加となっている。
【図表1】移出額・移入額の推移
ただ、沖縄地域は戦前から移出額よりも移入額が大きい状態が続いている。しかも、移入超過率(移入額に占める移入超過額の割合)は、米国施政権下時代に急上昇した(図表2)。戦前(1935年)は28.5%だったのにもかかわらず、米国施政権下時代は60%半ばから80%弱の間で推移。1972年の施政権返還以降は、一時的に20%台まで低下したことはあったものの現在は40%台となっており、米国施政権下時代よりは低い値で推移している。
とはいえ、現在も移出額よりも移入額が多い「移入超過状態」が続いている。域内に落ちるカネよりも、域外に支払うカネが大きい経済構造となっているのである。
【図表2】移入超過率の推移