沖縄県内は好景気が続き、企業における人手不足も深刻化している。沖縄県内の有効求人倍率も2016年度に復帰後はじめて1倍を突破。そして2017年度は1.13倍とさらに上昇。全国平均よりはまだ低いものの5年連続で過去最高を更新した。「仕事がない」と言われていた時代ではなくなっている。企業経営者にとっても、いま働いている従業員の方々に「働き続けてもらう」ための取り組み、いわゆる「働き方改革」が必要不可欠になっているのだ。
沖縄においても労働力人口は減少
好景気を背景に県内の就業者数は増加が続いている。2015年の国勢調査結果によると、沖縄県の就業者数は、2010年調査時よりも1万人以上増加し、589,634人。就業者数の伸び率は全国トップだ。ただ、完全失業率も大きく改善したとはいえ、全国最下位であり、非正規率や離職率も高い割合となっており、労働環境の課題は依然として多い。
さらに、県内の労働力人口<15歳以上の人口のうち就業者(休業者も含む)と失業者の合計>は、2015年には629,394人となり、2010年比で3.2%(20,913人)減少した。就業者数は増加し、失業者も減っているが、労働力人口は減少しているのだ(図表1参照)。
その要因として考えられるのは、高齢化だ。2015年の国勢調査では、沖縄県の65歳以上人口の割合(19.7%)が、15歳未満人口の割合(17.2%)をはじめて上回った。労働市場を活性化させる主要な担い手である若者が減ってきている以上、働き手が減っていくことは現状では避けられないだろう。
その上、以前のレポートで紹介したように(沖縄ビジネス展望~活況を呈する飲食業界~・https://okiron.net/economy/506/)、沖縄市場に魅力を感じ、県外から進出してくる企業も増えつつある。このようなトレンドからすれば、県内における人手不足は一時的なものではなく、今後も持続するはずだ。実際、県内においては、企業間の人材の獲得合戦が激しくなっている。気づいたら、待遇のよい同業他社に転職してしまっているというようなケースも出てきている。
したがって、県内の企業においては、今いる社員に長く「働き続けてもらう」ためにも、「働き方改革」は必要不可欠なのだ。