観光関連産業を中心に好調を維持している沖縄経済。しかし、県民総所得に占める財政支出の割合は依然として大きい。持続ある経済にしていくためには民間主導型の経済にシフトさせていくことが必要だ。
財政に頼りすぎていないか
沖縄経済は好調だとはいえ、依然として県外に多くのカネが流れている状況であることを紹介したが、沖縄経済において観光関連産業だけでなく、大きな地位を占めている部門がある。それは、公的支出、すなわち財政だ。
1972年5月に日本に復帰して以降、官民あげて沖縄振興に取り組んできた。
日本政府の予算に計上された沖縄関係予算額は1972年から2017年(当初予算)までの累計で11.8兆円に上っている。米国施政権下時代、社会インフラ投資が少なかったこともあり、1972年以降、集中的に実施された。
これらの投資の成果もあり、社会資本の整備は進み県民の利便性は向上している。実際、大きく改善した経済指標も多い。沖縄県の県内総生産(名目)は1972年度の4459億円から、2014年度には4兆511億円となり9倍も伸びた。同時期の全国の伸びは5.4倍にとどまっていることから、沖縄地域の伸びは大きい。
ただ、積極的な公共投資により社会資本の整備を行ってきたため、県民総所得に占める財政依存の割合を示す財政依存度は1972年度時点では23.5%だったが、2014年度には37.6%に増大してしまっている状況だ。
【図表4】財政依存度、基地依存度、観光収入の推移