沖縄で昭和の街並みが残る飲み屋街、那覇市栄町。日付が変わる午前0時ごろ、飲食店が次々と店を閉め始めても、明かりがともり続ける店がある。街の本屋「ブックスおおみね」だ。約30年、家族4人で沖縄の書店で唯一24時間営業を続けている。コンビニエンスストアの台頭で、街の本屋は雑誌や漫画が売れなくなり、出版不況もあってシャッターを閉じていく中、20坪弱の店舗が生き残っている理由とは。
なぜ24時間営業?
「いらっしゃいませ」。
午後6時、店頭で迎えてくれたのは、大嶺輝浩さん(47)だ。 「記者さん、この前も来てくれてましたよね。あそこに貼ってある光GENJIのポスターを見て、ジャニーズが好きだと話していたので覚えています」
店内には、1990年代からのポスターや雑誌の販促グッズが飾られている。ポスターは蛍光灯で焼け、白壁は長年の細かなほこりで所々薄黒く、多くの人が歩いたであろう床のタイルは擦れている。営業してきた長い歴史を店内の一つ一つが教えてくれるが、インクの匂いは新しい。
店内には、1990年代からのポスターや雑誌の販促グッズが飾られている。ポスターは蛍光灯で焼け、白壁は長年の細かなほこりで所々薄黒く、多くの人が歩いたであろう床のタイルは擦れている。営業してきた長い歴史を店内の一つ一つが教えてくれるが、インクの匂いは新しい。
「ブックスおおみね」は1982年、輝浩さんの父、浩邦さん(69)が始めた。元々は、木材関係の営業職として働いていたが、ケガで思うように動けなくなった。無類の本好きだったこともあり、脱サラをして書店を開いた。朝8時ごろ店を開け、夜8時か9時ごろ閉める。母の明美さん(68)と切り盛りしていた。
輝浩さん、高校生。父から店でアルバイトをするようにお願いされた。
「僕がアルバイトに入ると、両親が休める時間が作れるんです。学校から帰って、店の手伝いをしていたんですが、そのころからお客さんに24時間営業をしてほしいと要望をもらうようになりました。夜の街なのに、本屋が空いていないと。お客さんからの声は多くて、まだ沖縄でコンビニが少なかった90年ごろ、24時間営業に変わりました」
あれから約30年、24時間営業を続けている。69歳の父、浩邦さんが午前1~8時、68歳の母、明美さんが午前8時~午後4時、長男の輝浩さんが午後4時~午前1時の固定シフト。輝浩さんの双子の弟、次男の浩之さんは入荷や配送、営業を担当している。
「休みは元旦だけ。家族そろってご飯を食べるのは、正月だけです。僕の場合は、お盆のエイサーもここ何十年、見たことがないですね。近所から聞こえてくる音を楽しんでいます」