沖縄の政治家は保守も革新も瀬長亀次郎の残像を残している

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夕暮れ時、大阪・大正区の広場で集まった人々の視線を浴びる男性。ギターを弾き、熱唱する。

「And darling,darling,stand by me……」

 よく通る声がほろ酔い気分の観衆の耳に心地よく響く。


「凄い! 知事とは思えない!」

 隣にいた若い女性のグループが興奮して話していた。そう。人々の驚きの視線を浴びるこの男性は知事だ。沖縄県の玉城デニー知事(59)。歌唱力に動揺していた人々も、1曲終わる頃にはアンコールの大合唱。結局、知事は2曲歌って壇上から降りた。

 9月8日、玉城知事は大阪を訪れて沖縄の現状を訴えた。1時間、メモひとつ見ずに集まった大阪市民ら300人に語り掛けた。政府と対峙する基地問題について、自分の言葉だけで語り続ける姿も珍しいのだが、更に驚かされたのがその後の熱唱だった。講演会場近くで行われていたエイサー祭りに参加して披露した。そうした知事の姿に斬新さを感じつつ、その昔過ごした沖縄に思いを馳せた。

大阪市大正区のエイサー祭り会場で「スタンド・バイ・ミー」などを披露する玉城デニー知事(筆者撮影)=2019年9月8日

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