血税の垂れ流しが続く

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沖縄の辺野古新基地の完成が2030年代以降にずれ込むことを国が認めた。今年もこう着状態が続くのは必至。無謀な政策の末路は依然不透明だ。

「普天間飛行場の一日も早い危険性除去という『辺野古』の根拠が失われた」

辺野古新基地計画について政府が「工期12年」との試算を発表した翌日の昨年12月26日。沖縄県の玉城デニー知事はこう指摘し、米軍普天間飛行場の閉鎖・返還を辺野古新基地建設と切り離す必要性をあらためて強調した。

2006年の在日米軍再編に伴い、日米が建設予定地を「辺野古沖」から現行の「辺野古沿岸部」に変更したのも、「工期短縮」によって一日も早く普天間返還を果たす、という大義名分があったからだ。それから13年。さらに「最低でも」12年かかることを国が認めたのだ。県の同意を度外視しても、技術的難度や反対派の阻止行動も排除しやすい点を考慮して現行の沿岸部に建設することで、「早ければ22年度の普天間返還」を目標に掲げた国の政策論理は完全に瓦解した。

加えて、国は14年時点で「少なくとも3500億円以上」としていた総工費も、約2・7倍の9300億円に修正。「少なくとも」「早ければ」といった希望的観測に基づく数字のメッキがポロポロはがれ落ちている。

工期や工費が大幅に膨らんだ主な要因は、埋め立て面積全体の4分の3を占める大浦湾に広がる「マヨネーズ並み」の軟弱地盤対策だ。16年までのボーリング調査で判明していた軟弱地盤を国は公表せず、18年3月に県民らの情報公開請求で明らかになった。

「国の工期や工費の見積もりは数合わせで、防衛省の願望にすぎません」

こう話すのは、いち早く軟弱地盤の資料を入手した那覇市在住の元土木技術者、北上田毅氏(74)だ。

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