コロナ自粛中に沖縄へ行くのは「大バカ者」か

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「沖縄に旅行=非常識なこと」イメージ拡大

国が4月7日に緊急事態宣言を出して以降、県内外の人たちから沖縄への旅行者の行動を疑問視したり非難したりする声が出始めた。
 
 それが如実に表れたのが、石田純一さんの行動に対するバッシングだ。4月10日、「仕事」のため沖縄を訪れていた。後に新型コロナウイルスへの感染が明らかとなり、この頃から「沖縄に旅行=非常識なこと」といったイメージが高まっていく。

 新型コロナウイルスの感染が拡大する以前は、沖縄への旅行は「行きたい」「うらやましい」「楽しい」といったポジティブなイメージが強かっただけに、観光業界で働く人たちの思いは複雑だ。

 沖縄は観光を主要産業として成長を続けてきた。沖縄の潜在性に着目し、多くの外資系ホテルや県外企業が進出。行政も観光を柱に経済政策を打ち立て、「観光収入1・1兆円」を目指してきた。


 だが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で旅行客は激減、空前の好調を維持していた沖縄経済は一気にしぼんだ。インバウンド頼みだったドラッグストアは続々と撤退し、地元企業も窮地に立たされている。

 感染の不安に先行きが見通せないストレス…。多くの人たちの胸内にとげとげしさが目立つようになり、モラル違反と見られれば批判の矢が容赦なくとぶ。観光業界内では強まるバッシングに「沖縄観光への後々のイメージ悪化にもつながらないか」と不安さえ漏れ聞こえる。

居酒屋、観光地、ホテルのいま

人気観光地の国際通りはシャッターが閉まり、沖縄美ら海水族館、おきなわワールド、ネオパークオキナワ、名護パイン園、古宇利オーシャンタワーなど、「定番の観光コース」も軒並み臨時休業している。

ある観光施設の担当者は「観光客がメイン。休業要請が解除されても入りが見込めない」とため息。「閉めていても施設の維持にコストは掛かるが、再開できるのはいつになるのか」。

ホテル業界も宿泊については休業要請の対象ではないものの「感染拡大を抑えることが最優先事項」と来県自粛の要請に一定の理解を示し、協力。大手ホテルを始め次々と休業を発表してきた。

 沖縄県ホテル協会が5月上旬にまとめた調査では、会員59社のうち半分の30施設が休業。5321室が空いたままだ。

 もう一つの組織、沖縄県ホテル旅館生活衛生同業組合に加入する多くのホテルも休業に。
 理解を示して休業しているが、あるホテルからは「このままだともたない。コスト削減も限界を迎えつつある」と切迫した声も聞かれた。

 どちらも沖縄県などに窮状を訴えるが、胃がきりきりするような日々が続いている。

コロナウイルスの感染予防のため観光施設が休業し、閑散としている駐車場=今帰仁村古宇利島

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