コロナ禍の沖縄~「夜の街」で働く女性の告白

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夜1本の女性が特に厳しい

 松山で働く女性は、昼と夜の掛け持ちが半々くらい。子どもを抱えて働いているシングルマザーの人は、子どもとの時間を確保するためにも、夜1本が多いのかな。夜1本で働いている人が、今、特に厳しいです。

 貯金がある人は切り崩せるけど、貯金がない仲間は大変な状況。見通しもない。

 休業、減収になった人が最大20万円借りられる「緊急小口資金」の手続きの仕方を、店側が説明会を開いてくれているのが現状です。

21日から、お店が再開しました。マスクをしないで道を歩いている人はいない。でも、マスクをしたままの接客はできない。でも、仲間に会いたいから、早く出勤したい。でも、年老いた母と同居しているので、家族に移すリスクもある。本当に複雑。

 ただ、派遣の契約は今月いっぱい。来月から夜に戻るつもりですが、復帰したとしても、また2波がやってくると思います。

 今、本当に苦しい毎日です。

閉店した店から他店に移るホステス

 派遣の契約が終わって、6月1日に夜のお店に復帰しました。

 ただ、コロナが収まっているわけじゃないから、多少は警戒しながら、母と生活していけるギリギリの週3日の勤務に抑えました。

 復帰して驚いたことの一つは、派遣で働いている間に閉めたお店も何軒かあって、そこから流れてきた新人の女の子が10人ほど増えていたことです。

 もう一つは、まだ渡航自粛の期間中でしたけど、お客さんが絶えなかったことです。暇な日は暇でしたけど、丸一日、暇というワケじゃなくて、本土からの団体のお客さんが来てくれていました。お客さんの割合は大体、本土8割、沖縄県内2割でした。

 お客さんに「内地から来てるからやっぱり怖い?」と聞かれても、「大丈夫だよ」ってしか言えません。

 お店は、入り口に消毒液、おしぼりが置かれて対策はされてました。女の子の待機の時にもハンドジェルが置かれていました。

 ただ、私の隣にお客さんは座りますが、さすがにマスクもフェイスシールドもできません。お客さんはマスクしてもいいけど、やっぱりお酒が飲みにくいので全員外します。ドキドキしながらの接客が続きました。

 そして、7月22日にGoToトラベルキャンペーンが始まって「沖縄、終わったな」と思いながら接客を続けました。そして、東京から慰安旅行の団体が入ってくるようになった矢先、松山でのクラスターが発生しました。

「夜は地獄」

 先週は7月27日(月)、30(木)、8月1日(土)で出勤予定でしたが、30日は、クラスターが発生していたこともあって、休ませてもらいました。女の子からの当日欠勤は罰金があるんですけど、私には家族もいるので、うつしたらと思うと怖くて。

 8月2日、那覇市が松山で働く人たちに集団のPCR検査をするというので、密を避けるために朝一で那覇港に行きました。

8月2日、PCR検査を受ける人たち=那覇港(美鈴さん提供)

私は、知り合い3人が感染してるんです。松山で働いているバーの人、国際通りの飲食店の経営者、もう一人は重症化してしまって入院しています。

 いまのところ、国の接触確認アプリで「陽性者との接触は確認されませんでした」と表示されるので、接客したお客さんも知り合いも運良く感染してないんだなと思います。ごはんもおいしくて、味覚も嗅覚も大丈夫。

 ただ、問題は、今回の営業自粛は2週間ほどですけど、前回の緊急事態宣言と違うのは、自粛が終わっても感染のリスクが収まってない可能性があることです。前回とレベルが違うように思います。

 それに、経済的なことも大きい。15日になってすぐに出勤していいのか考えどころでもありますが、前回の緊急事態宣言で貯金を切り崩したのでほとんどお金が残っていないんです。もっと貯金しておけばよかったけれど、まさかこんなことになると思っていません。

 補償ももらいにくい職業です。店側に「休業手当もらえるんですか」と聞いたら「雇用調整助成金はもらう方向じゃなく、もらいにくい業種だから。仕方ないなぁ。」の一言で終わって、今のところ、もらったのは、特別給付金の10万円だけです。

 でも、もう持ちません。夜は地獄。給付金のことを調べて、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金を申請することにしました。昨日、PDFファイルをプリントアウトしたので、それを送ってみようかな。そしたらお昼の仕事を探そうと思っています。

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