逆説に傾く寄る辺なき民意

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沖縄に関するフェイクやヘイトを流すメディアが、主な標的にしてきたのは「基地反対派」だ。気になっていたのは、その浸透力である。「基地反対派」は沖縄社会でも逆風にさらされるようになった。

2月の名護市長選で、辺野古新基地建設に反対する現職市長が敗れた。

「知事選の圧勝が『辺野古を止めたい』側の構造的弱さを隠してきたが、名護市長選挙で剥き出しにされた」

『琉球新報』(227日付)で沖縄国際大学の佐藤学教授はこう論評し、深い嘆きとも取れる現状認識を吐露している。

「沖縄県民は、本来、誰も米軍基地など望まない、ということが暗黙の了解になってきたが、それも若年層ではもはや違うのではないか」

仮定の留保を付けつつ、さらにこう踏み込む。

「反対運動が地域を分断すると敵視し、積極的に米軍基地に寄り添う人々が多数を占めるようになっているのではないか。だとすると、沖縄社会の本質的転落の顕在化である」

沖縄大学の高良沙哉准教授も主観的な立ち位置から、新基地建設に反対する知事を誕生させた民意の寄る辺なさをこう表現する。

「知事選の中心的争点になるであろう辺野古新基地建設について、市民の現場の力で止めるしか策がなくなったとき、代表者にどのような意味を見いだすことができるのだろう。あの201411月の知事選圧勝の高揚感は、筆者の中では色あせている」(『沖縄タイムス』171231日付)

批判の矛先は、新基地建設を強行する国家権力の横暴に向かうのではなく、それに歯止めをかけられない地元の政治リーダーの非力さに向けられる。このいら立ちや失望感は、どうせ国に逆らっても無駄なのに、反基地にこだわる「基地反対派」は地域の分断や閉塞感を招く張本人だ、という逆説的な感情とどこかで接合する要素をはらんでいないか。

辺野古新基地建設の是非を問う「県民投票」や埋め立て承認の「撤回」といった政策手法をめぐる現職知事に対する不満は、「辺野古を止めたい側」の内部で日に日に高まっているように感じられるが、それが感情的なもつれとなり、コアな「反対派」の結束のほころびにつながりつつある面もうかがえる。そうした亀裂や疑心暗鬼は、「できれば辺野古に基地を造ってほしくない」と考えている潜在的な「反対派」を含む無党派層の知事選での投票行動にも少なからず影響を及ぼすのではないか。

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