「戦後沖縄」ともに体現~翁長後継・玉城デニー氏の覚悟

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遺志受け継ぐ覚悟

 

玉城氏は、「米軍を早く沖縄から出すには、自衛隊の配備も必要になってくるかもしれない」と見る。しかし、沖縄の先島で進む自衛隊配備についてはこう批判する。

「丁寧に協議し、地元の理解を得るのが必要。国が先島でやってきたように地元との協議も踏まえず、基地を造成し部隊を駐屯します、というやり方は自衛隊にとっても迷惑。こんなことをやっている民主主義国家はない。それが、『保守』でもある自分には許せないわけです。革新の皆さんは『基地反対』と言いますが、その前提は違うんです」

「革新」との立ち位置の違いもにじませつつ、「保守」の現状にも違和感を隠さない。
「対等な日米関係をつくらないから、地位協定改定も一歩も進めない。全部、従米なんですね。保守の側はそれで独立国家日本だって、鼻を高くしているのはおかしな話」

沖縄の全ての米軍基地の撤去を求める立場ではない。基地を置くなら置くなりの理由と、負担の度合いが問われるべきだ―辺野古新基地建設を念頭に、玉城氏はこう主張する。
「占領で土地を奪ってつくられた米軍基地がそのまま置かれているから、新しい米軍基地もまた沖縄につくれなんていうのは、翁長知事が言われたように『政治の堕落』ですよ。もっと県民のことを考えるべきだと、翁長さんは保守の側から本気で怒った。私も全く同感です」

玉城氏は「オール沖縄」の候補として知事選に立候補する見通しだが、同時に国会議員として培った「オールジャパン」の視点も持つ。
「東京にいると、物事が俯瞰的に見えますし、沖縄に戻ると離島の苦しさや過疎化の厳しさも見えてきます。どちらか一方の視座から見るのではなく、日本全体の方々にも通じる言葉を選んで思いを伝えるよう意識しています」

辺野古新基地建設は止められるのか。玉城氏はひと呼吸おいてこう話した。
「翁長知事が準備していた承認撤回をまずしっかりやること。それからでしょう。沖縄で基地問題は、どうすれば安心して生活できるのかという生活の問題。それをイデオロギー化させているのは日本政府です。翁長知事の遺志を受け継ぐ覚悟でなければ新しい知事は務まりません」
【本稿は『週刊アエラ』9月3日号を加筆しました】

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