「忘却された歴史」―日本本土の米軍基地問題史を問い直す

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「忘却された歴史」と沖縄の現状

 

かつては日本本土でも米軍基地問題は非常に深刻であり、激しい反基地運動が各地で行われ、自民党政権も米軍基地の削減を米側に求めた。その結果、本土の米軍基地は急速に削減されたのである。もちろん、冷戦期と今日では、国際情勢や国内情勢が異なる。それでも、本土の米軍基地問題史を学ぶことで、見えてくることはあるだろう。

まず気づくのは、沖縄県民が、かつての日本本土の国民と同じことを求めているに過ぎない点である。また、安保体制を是認する故翁長雄志知事や玉城デニー知事が辺野古移設に反対することは、過去の自民党政権の行動と同様のものであり、「反日左翼」と批判されるような行為ではないことも理解できる。

そして、今日の日本では、日本本土でも米軍基地問題が深刻だった時代があったこと、そして本土の「危険性」低減が沖縄へのしわ寄せを伴うものだったことが、忘却されているように見える。本土の米軍基地問題史を十分に踏まえたうえで、普天間基地の「危険性除去」を求める沖縄県民の声に耳を傾ける必要があるだろう。安保体制の構造的な歪みというべき「危険性」の除去を進めることは、良好な日米関係の維持・発展のためにも欠かせないはずである。

 

〔主要参考文献〕

林博史『米軍基地の歴史』吉川弘文館、2011

防衛施設庁史編さん委員会編『防衛施設庁史』防衛省、2007

吉次公介『日米安保体制史』岩波書店、2018

 

 

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