日常生活から見る沖縄の社会変容~コトバ編

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今回よりオキロンの場を借りて「沖縄の社会変容」というテーマについて、いくつかのトピックスに分けて書かせて頂く事になった。今、人間社会は政治・経済・社会のあらゆる面で劇的な変化の時代を迎えつつあり、沖縄も社会変容の大波に洗われている。こうした変化の内実について様々な角度からお伝えできればと思っている。

ただ論文ではないので、「研究者」として「沖縄社会」を大上段に「分析」するのではなく、「生活者」としての日々の生活の中で出くわした「出来事」の活写を重視するスタイルとしたい。その方が「専門分野」の「縛り」を超えて、幅広い事象について伝える事ができそうだからだ。

2008年に沖縄出身の妻と息子2人と私(千葉県出身)の4人で那覇市の那覇新都心界隈に暮らし始めて10年になるが、その間「沖縄社会の変化」について思いをはせるような生活上のちょっとしたエピソードが何回かあった。そうした日々の生活の中でのエピソードから入る事で、今起きている変化のインパクトをビビッドに伝えてゆきたい。一回目のトピックスは「コトバの変容」である。

「ユンタク」の「死語」化

 

つい先日、那覇新都心界隈にある我が家で妻と喋っていた時の事。会話の文脈は忘れたが妻が「みんなユンタクばかりしていて・・・」といったような事を言った。するとそばで会話を聞いていた小学6年生の長男が「ユンタクって何?」と聞いてきて、夫婦共々思わず絶句しまった。

現代の沖縄本島で、50代より下の世代の人たちが使う話しコトバは、日本語をベースにしつつ、古来この地で話されてきた沖縄語(ウチナーグチ)起源の単語や表現を多く含むため、よくウチナーヤマトゥグチと呼ばれる 。

「おしゃべり」を意味する「ユンタク」は、NHKのテレビドラマ「ちゅらさん」でも使われた、ウチナーヤマトゥグチの中でも全国的知名度の高い単語だ。従って「沖縄では老若男女誰でも使っているコトバ」だと思っていたのに、沖縄で生まれ育って12年の自分の子どもが意味すら知らなかったので面食らったのだ。

最初はウチのように片方の親が県外出身者の家庭だとウチナーヤマトゥグチの習熟が弱いのかなとも思ったが、よくよく考えて見ると那覇の小学校に6年通った息子が意味すら知らなかったということは、この学校の小学生同士の日常会話でこの単語が使われていない事を意味する。

それどころか、妻いわく、彼女の職場で20代の若手がこの言葉を使うのを聞いたことがないという 。世代交代の進行に伴って「ユンタク」は「死語」化しつつあるのではないか、とこの時思った。

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