この10年間に沖縄で生じた変化のうち、那覇の住民がもっとも面食らったものの一つは「外国人の急増」ではないだろうか。この場合の「外国人」とは、戦後沖縄では見慣れた存在である「基地関係の人たち」ではなく、主にアジアからの「観光客」「労働者」のことを指す。住んでいる場所や仕事の職種によっては「10年前は想像もしなかった」というレベルで、お客さんや同僚に「外国人」が増えた人も少なくないはずだ。
この「外国人の急増」は沖縄にどのような変化をもたらしているのだろうか?
今回は多くの沖縄住民が関心をもっているにも関わらず、これまであまり取り上げられてこなかったこのテーマにスポットを当てたい。ただ「外国人」といっても「観光客」と「労働者」では沖縄への影響の仕方が大きく異なる。今回は「外国人労働者」をめぐる沖縄の状況について二回に分けてお伝えしたい。一回目は市民生活との接点が多いネパール人の留学生アルバイトに焦点をあててお伝えする。
那覇の日常風景の一部になったネパール人アルバイト
那覇の自宅近くのコンビニに入ったとき、勤務中のスタッフが全員ネパールの若者であっても驚かなくなってもう4,5年ほどになるだろか。「あの人たちはどこの国の人?」と子供たちに聞かれることも最早ない。那覇・浦添近辺の小・中学生なら、大抵の子はコンビニや居酒屋、レストランで働く南アジア系の人がネパール人だということを知っている。ネパールの人たちは、那覇においては最早、「空気のようにあたりまえ」の存在になりつつある。 そうした状況を象徴的に示す異色のCMが2019年の春からテレビで流れている。それは沖縄ファミリーマートの求人CMで、主人公は「コンビニのネパール人店員」。ファミマ店員に扮する1人のネパール人男性が、同僚店員に扮する沖縄芸人たちとコント風の掛け合いを披露し、最後に「ファミリーマートで働こう♬♫」という沖縄でおなじみの歌を流しつつ、同じ内容をネパール語の言葉と字幕でも呼び掛けるというものだ。このネパール人店員が主人公のCMは数バージョン制作され、いずれもyoutubeで見る事ができるのでまずは見ていただきたい。