なぜ沖縄の民意に関係なく進めることができるのかー。
昨年(2018年)の沖縄県知事選挙と同様に、今回の県民投票もその結果がどうであれ、辺野古移設を推し進めるというのが安倍政権の姿勢である。そうした姿勢をとり続けることができるのは、国会の圧倒的多数が辺野古移設推進の立場にあり、しかもこの問題が日本全体の問題にまでなっていないことを、同政権がよく知っているからだろう。
またその背後には問題を先送りせずに解決するといういわば「決める政治」があり、沖縄で強い反対の声があっても押し通すという「力の政治」が展開される。このやり方は沖縄県民の反発をますます高め、事態をより深刻なものにするが、今の本土の政治社会状況からして、同政権はこれを「沖縄の問題」に限定できると見込んでいるのだろう。
鍵は国民的な議論の高まり
よってこの局面を変えるためには、問題をいかに「日本全体の問題」にまで高めることができるのか、という点にかかっている。つまり、この問題に関心を持たない、あるいは知らない多くの国民がどれだけみずからの問題としてこれを認識し、当事者意識を持つことができるのか、という点にかかっているのである。
この観点から考えた場合、今回の県民投票は少なくとも次の2つの点で可能性を秘めている。以下、その点に絞って論じてみたい。