コロナ危機の今こそ辺野古移設計画の見直しを

この記事の執筆者

コロナ危機の中でこそ

 今日、軟弱地盤の存在によって普天間飛行場の辺野古新基地工事が極めて困難になっているのは明らかであり、他方では、中国のミサイル能力の向上とともに米軍の戦略も見直しが進められている。こうした情勢を踏まえて、日米両政府、そして日本全体で、本来の目的である普天間飛行場の早期の危険性除去と運用停止、さらには中長期的には沖縄の米軍基地の抜本的な整理縮小を進めるべきだというのが提言書の主張である。

提言書も、日本の安全保障や日米同盟の持続可能性の向上を目指しており、そのために日本政府、米国政府、沖縄県が対話によってこれらの問題に取り組むための「土台」を構築しようとしたのである。

 しかも今日、コロナウィルスによって世界は危機的状況にあり、日本の経済財政状況もさらに悪化することが予想されている。「辺野古新基地建設にかかる莫大な費用を、別の用途のために使用した方が、日本の政治や経済、さらには安全保障にとってはるかに有益であろう」という提言書の指摘は、コロナ危機においてより説得的なものになっている。コロナ危機のさなかにおいて、辺野古新基地建設に莫大な費用を投じたり、日本政府と沖縄県が対立したりしている場合ではない。

何よりも、今日の危機の中でこそ私たちは、日本の世界のあり方を再考する必要がある。こうした中で、この提言書が、沖縄の基地問題を通して日本の外交・安全保障や日米同盟、さらには地域秩序のあり方についての議論を活性化させるための土台になることを期待したい。

この記事の執筆者