コロナ危機の今こそ辺野古移設計画の見直しを

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コロナ危機の最中での設計変更申請

 4月21日、日本政府は、普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設をめぐって、軟弱地盤の改良工事に伴う設計変更を沖縄県に申請した。新基地建設予定地である辺野古の大浦湾には、66haの巨大な軟弱地盤が存在することが明らかになったことから、政府は今回、地盤を改良し海底に砂ぐいなど7万1000本を打ち込むことや、埋め立て面積を当初の157haから152haにするなどの設計変更を行おうとした。すでに昨年12月に発表されていたことだが、政府によれば、地盤改良などのため、新基地の米軍使用開始まで12年、総経費は9300億円かかるという。

 これまでの多くの選挙で、普天間飛行場の辺野古移設に対して、多数の県民の反対の意思が示されてきた。特に、昨年2月の辺野古新基地建設に伴う埋立てをめぐる県民投票では、「反対」に票を投じたのは72%にのぼった。沖縄県の玉城デニー知事は、辺野古新基地建設阻止を掲げつつも、「対話」による解決を訴え続けている。しかし政府は、辺野古新基地建設が「唯一の選択」として工事を進め、軟弱地盤についても十分に説明をしてこなかった。

 今回の設計変更申請の大きな問題の一つは、そのタイミングである。日本全国が新型コロナウィルスへの対応に追われ、沖縄県も4月20日に独自の緊急事態宣言を出し、さらに22日には休業要請などを出す予定であった。こうした中、沖縄防衛局は21日に突然、設計変更を申請したのである。さらには、辺野古移設工事に携わる業者の従業員がコロナウィルスに感染したことから、17日以降、工事は中断されていた。

コロナウィルスという「国難」、さらには世界的危機のさなか、政府や自治体は、まずはその対応に専念すべきである。そうした中での突然の申請に対し、沖縄県は強く反発している。また、このような政府のやり方は、日本全国の国民からも支持を得られないだろう。

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