海兵隊の再編は沖縄に何をもたらすか【上】

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米中対立の激化

 米中対立が激化している今日、米軍の中で特に中国に対抗するために急激な変革を進めているのが、海兵隊である。

海兵隊の変革見直しの急先鋒になっているのが、デビッド・バーガー総司令官である。彼は7月の着任直後に「計画指針」を、今年3月には「兵力デザイン2030」を発表した。「兵力デザイン2030」では新たに海兵沿岸連隊を設立することが記されたが、7月24日のロイターの記事によれば、バーガー総司令官は、2027年までに沖縄に海兵沿岸連隊を設置することを明らかにした。すでに沖縄への海兵沿岸連隊配備に向けて、日本政府と協議を開始したという(Reuters, July 24)。

周知のように、沖縄には、在日米軍専用施設の約七割が集中している。沖縄の海兵隊の兵力数は約1万5000人で在沖米軍の兵力の約六割を占め、その基地面積は沖縄米軍基地全体の基地面積の約七割を占めている。沖縄には、海兵隊の最大の兵力単位である三つの海兵遠征軍(MEF)のうち、第三海兵遠征軍(ⅢMEF)が拠点を置いている。

このように、沖縄の米軍基地問題を考える上で沖縄の海兵隊について理解することが不可欠である。しかもバーガー総司令官の「計画指針」では、沖縄を拠点とする第三海兵遠征軍(ⅢMEF)は、海兵隊にとって「主要な努力の焦点」とされている(38th Commandant’s Planning Guidance)。それゆえ本稿では、各報道や報告書をもとに、現時点での海兵隊の見直しと沖縄への影響についてまとめてみたい。

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