自民党内の「辺野古見直し論」は何を意味するのか

この記事の執筆者

党内で高まる不満の声

辺野古新基地を使う米海兵隊の大半はグアムなどへの移転が決まっている。このため、戦略面からも新たに米軍基地を造る必要性を問う声もある。

6月16日の衆議院安全保障委員会。沖縄選出の屋良朝博議員(国民民主)が米軍再編後に沖縄に残る海兵遠征隊の主力部隊とその兵力数について質問したところ、防衛省は「第31海兵遠征隊の上陸大隊800人」と答弁した。

屋良氏は言う。

「沖縄に駐留する米海兵隊の地上戦闘兵力は約6千人。これが87%削減されることになります」

 この穴を埋めるように、沖縄本島を含む南西諸島の島々には自衛隊の配備が進んでいる。中谷氏が「米軍と自衛隊の共同使用」を提案する背景にはこうした戦略上の変化もありそうだ。

 自民党内からも、辺野古の工期延長にともなう普天間の負担長期化に「ノー」の声があがる。

6月19日、自民党沖縄県連青年部の若手議員らが防衛省に山本朋広防衛副大臣を訪ね、辺野古への移設が完了するまでの間、普天間飛行場を別の既存基地内へ仮移設するなどし、前倒し閉鎖を検討するよう要請した。

 自民党内部の動きについて屋良氏はこう指摘する。

「軟弱地盤が見つかってからは、これはおかしい、と考える人が自民党の中にも増えているようです。イージス・アショア以外にも、森友・加計問題、公職選挙法違反容疑で逮捕された河井夫妻に党本部から1億5千万円が振り込まれたことなどに党内の不満が高まる中、声を上げやすい環境が整いつつあるのでは」

 ポスト安倍、ポストトランプの日米関係が取りざたされる今こそ、政権が辺野古の不合理性にほおかむりを続ける状況に歯止めをかける必要がある。

【本稿は週刊AERA2020年7月6日号の記事を転載しました】

この記事の執筆者