石垣市自治基本条例審議会答申の酷さについて

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3.自治基本条例27条及び28条「住民投票条項」

現行条例27条

「1.市長は、市政に係る重要事項について市民の意思を確認するため、その案件ごとに定められる条例により住民投票を実施することができる。」

「2.市民、市議会及び市長は、住民投票の結果を尊重しなければならない。」

現行条例28条1項及び4項

1.市民のうち本市において選挙権を有する者は、市政に係る重要事項について、その総数の4分の1以上の連署をもって、その代表者から市長に対して住民投票の実施を請求することができる。」

「4 市長は、第1項の規定による請求があったときは、所定の手続きを経て、住民投票を実施しなければならない。」 

審議会は、自治基本条例27条及び28条について、「市民の権利及び市の責務についての具体的な内容が判然とせず、両条文の整合性にも疑問があるため、抜本的な検討が必要である。」と答申している。しかしながら、審議会のメンバーに現在係争中の住民投票義務付訴訟の市側の弁護士がいること自体が、大問題であり、恣意的に市側の解釈に沿ったこれこそ客観性と専門性が問われる審議会の答申として整合性が取れない最たるものである。

 事実、この弁護士は2020年9月3日の諮問を受けた直後の初回の審議会において「27条と28条の兼ね合いが分かりにくい。整合しないところある」と指摘。住民投票義務付け訴訟にも触れ、「今後の紛争の火種になりかねない。変更や改廃を含めて検討すべきだと思う。28条の4分の1の要件は厳しい。地方自治法もあるので、4分の1の要件がなくなったとしても市民の権利関係を阻害するものではない」との見解を示しており、今回の答申はこの見解がそっくりそのまま採用されている。https://www.y-mainichi.co.jp/news/36731

なお、裁判においても原告らが主張しているように、自治基本条例27条1項は、「市長は」「住民投票を実施することが」「できる」と定めているに過ぎない。一方、自治基本条例28条1項および4項は、4分の1以上の署名という要件を満たした市民からの請求があった場合、市長は住民投票を実施「しなければならない」義務を負うというもので、自治基本条例27条1項が適用される余地はない。

 したがって、両条文の整合性に疑問の余地はないのは明らか。市側の意向に沿った答申の本音は、市民の3割以上が求めたシングルイシューの住民投票から逃げたいがための屁理屈でしかない。

このようなレイシズムを自治基本条例として改正は絶対に阻止すべきであり、ぜひ多くの市民が注視し声を上げてほしい。

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