国境に面した島嶼の軍事要塞化は国際常識か

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「国境に面した島嶼に軍事基地を置くのは国際常識である」という意見がある。ロシアのウクライナへの軍事侵攻を受け、そのような声は強くなっているようである。はたしてそうだろうか。軍事ジャーナリストの小西誠氏、外交史専門家の豊下楢彦氏らの指摘を参考に、この意見への反論を試みたい。

琉球列島における自衛隊の配備が住民の心配をよそに急速に進んでいる。これは、対中戦略の名のもとに第一列島線にある琉球列島を最前線として中国を封じ込めるものであり、その本質は、島嶼限定戦争を前提とした軍民一体化の戦略であることが明らかとなっている。最近では、「台湾有事は日米同盟の有事」と脅威が煽られ、米国は、台湾有事においても自衛隊を最前線に置く共同計画を推進しており、これによって宮古・八重山が標的となる危険性はさらに高まっている。

 ロシアのプーチン大統領はかねてから、北方領土の歯舞群島と色丹島を日本に返還した場合、それらの島々に米軍基地が建設されることを懸念しており、2018年12月には、「沖縄の辺野古米軍新基地の建設状況から判断すると、日本での米軍基地設置に関して日本政府がどの程度の主権を持っているのか疑わしい」とさえ発言している。

 この懸念に対して安倍首相(当時)は、「島が返還された場合、米軍基地を置かせない」とプーチン大統領に「約束」したと報じられており、これは、日米地位協定に基づき米軍側が北方二島に基地提供を要請してきた場合であっても、日本側に「拒否権」があるということを示している。

北方領土に基地を置かないというならば、同様に南西諸島に基地を置くこともナンセンスのはずである。

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