「なし崩し」で進むのか~新設の陸自石垣駐屯地「反撃型ミサイル」配備への懸念

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陸上自衛隊の石垣駐屯地が3月に開設された。環境アセス逃れや、有権者の4割が求めた住民投票の未実施など島民への説明が十分に尽くされないままの開設に、いまも賛否が渦巻いている。

沖縄県石垣市の中山義隆市長は昨年12月、人口5万人を突破した際には「祝!人口5万人達成 石垣島BBQ祭り」(仮称)を開催すると発表した。住民基本台帳に基づく人口は今年2月末時点で4万9485人。すでに3月末時点で達成しているかもしれない。なぜなら自衛隊員約570人とその家族がすでに移り住んでいるのだから。

 3月16日早朝、門柱に設置された看板の覆いが外された。向かって右の門柱には「石垣駐屯地」、左には「八重山警備隊」とある。その中へ迷彩服を着た人たちが車やバイクで入っていく。時折、拡声器からラッパ音。しばらくすると、小銃を手にした一部隊員の行進が始まった。

近くの県道沿いには「ありがとう がんばれ 自衛隊!」ののぼり旗。ゲート前では「石垣島に軍事基地をつくらせない市民連絡会」のメンバーらが「ミサイル基地はいらない」などと抗議の声。賛否が渦巻く中、石垣島中央に位置する県内最高峰・於茂登岳(525・5メートル)の南側連山ふもとに陸上自衛隊石垣駐屯地が開設された。

2016年3月の与那国島(隊員数約170人)、19年3月の奄美大島(同約610人)、宮古島(同約700人)に続く離島への自衛隊配備。南西諸島の防衛強化の一環という。石垣駐屯地は警備、中距離地対空ミサイル(中SAM)、地対艦ミサイル(SSM)などの部隊で構成される。ミサイルなどの弾薬類は18日に搬入された。

車両が運び込まれた石垣駐屯地(開設前の3月6日、小型無人機から撮影、八重山毎日新聞提供)

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