普天間が直面する差し迫った脅威は、米軍機による昼夜を問わない低空飛行や耐えがたい爆音、さらには環境汚染によって住民の生活基盤が破壊され続けていることであり、先鋭化する米軍の活動によって脅威は全域に広がっています。この事態に対する根本的な解決策は基地の撤去ですが、当面する「唯一の解決策」は、米軍に航空法をはじめとした日本の国内法を守らせることです。仮に国内法による“縛り”をかけることができるならば、直面する危険性は相当程度緩和されるはずです。
本土の政権は日米地位協定を楯にこの要求を拒否してきました。つまり、米軍の活動に支障を来たしてはならない、という軍事の論理です。しかし、軍事を理由に人権が蹂躙されることがあってはなりません。ガザの大惨事は、この問題を正面から問いかけることになりました。イスラエルはガザの人びとを人間として扱っていません。ネタニヤフ政権の幹部は「ガザを無人島にしてやる」と公言しています。どれだけの犠牲が出ようが軍事最優先です。
米軍の占領期はもちろん、本土復帰以降も米軍が我が物顔で好き放題に沖縄の人々の人権を蹂躙してきたことと、ある意味通じるところがあります。人間としての尊厳が完全に無視されているのです。岸田政権が「法とルールの支配」を強調するのであれば、直ちに国内法というルールを米軍に適用すべきです。これこそが、当面する普天間問題の「唯一の解決策」です。「辺野古が唯一の解決策」といった陳腐なスローガンの欺瞞性を暴露せねばなりません。軍事の名によって人権が蹂躙されるガザの悲劇を前にして、なぜ国内法を米軍に適用できないのか、なぜ米国本土で許されないことが沖縄では許されるのか、本土の政権は今こそ明確に答えねばなりませんし、私たちは今こそ、この要求を前面に掲げることが何よりも重要と考えます。