県外企業の相次ぐ進出
実際、人口や観光客の増加に伴い、沖縄県にビジネスチャンスを求める企業は増加。企業間の競争は激しさを増している。
2015年4月にオープンしたイオンモール沖縄ライカムは県内最大規模のショッピングモールで、「Okinawa Resort Mall」がコンセプト。県民だけでなく外国人観光客の誘客を目的としてオープンした。
さらに、コンビニエンスストア国内最大手のセブン–イレブンも、2019年度中をメドに沖縄県内に進出する意向を示している。人口や観光客数が増加していることなどから、魅力的なマーケットとして進出を決断したようだ(『沖縄タイムス』2017年6月10日)。
県内小売業最大手のサンエーも2019年夏の開業を目指し、浦添市西海岸に県内最大級の大型ショッピングモールの建設をはじめた。県民、観光客需要の取り込みに向けた競争は激しさを増している。
観光客増は県内における消費の拡大にとどまらない。県内企業、県外企業問わず、県内各地のホテルやアミューズメント施設の新築、改築、増築なども数多く行われている。県内における建設業、不動産関連、そしてその周辺産業にもプラスの効果を与えているのだ。
ちなみに、沖縄経済に占める軍関係受取(米軍関係者向けの商品・サービスの販売額や軍用地料、軍雇用者所得など)の割合は現在5%程度。観光関連の収入が軍関係受取よりも倍以上となっている。軍関係受取は、米国施政権下時代では沖縄経済の重要な要素となっていたが、現在の沖縄経済における影響度は、大きいとはいえないという点は紹介しておきたい。
那覇空港は現在、第二滑走路を建設中であり、供用が開始される2020年3月以降、さらに発着便数は増加すると予想される。また、政府は国際クルーズ拠点港として全国6港湾を選定しているが、その中には沖縄本島北部の本部町にある本部港、宮古島市にある平良港が選ばれており、拠点港として整備されればさらなるクルーズ船の誘客につながるであろう。
宮古地域にある下地島空港において旅客ターミナル整備も始まった。整備後は国際線・国内線だけでなくプライベートジェットの受け入れも計画しており、同地域もさらに活性化するであろう。
観光業が核となり、人々が県外・国外から集まり沖縄県内での消費は活性化している。さらに観光客にとって魅力あるまちを目指し商業施設、宿泊施設といった建設投資も盛り上がり、沖縄経済は好調だ。
今後も、観光業が沖縄経済の牽引役になることは間違いない。しかし、沖縄経済に死角はないのだろうか。【②に続く】