人口増や海外、県外からの観光客需要の活発さなどを背景に、沖縄地域の景気はかつてないほど好調だ。「バブル期なみ、もしかしたらバブルの時を超えている」と話す経営者も出てきた。県外企業の沖縄進出も活発だ。実際の沖縄経済環境はどのような状況なのか。統計データから見える、沖縄経済の現状と課題について紹介したい。
「県内景気は全体として拡大している」
日本銀行那覇支店が沖縄県内の景気状況について取りまとめた「県内金融経済概況」の最新版(12月8日公表)では、「県内景気は全体として拡大している」と記載されている。「全体として拡大している」との表現は今月で51カ月連続。つまり日銀那覇支店においては、4年以上、県内景気は拡大傾向が続いていると判断しており、地元の地銀系シンクタンクにおいても同様だ。
県内総生産も2014年度は4兆511億円で2009年以降、6年連続プラス成長が続いている。沖縄県では、今年度4兆3860億円にまで達すると見通しており、それが実現すると9年連続のプラス成長となる。
その要因はなにか。
基礎的な要因としては、人口の増加が挙げられよう。47都道府県において2015年の国勢調査で前回2010年時より人口が増加しているのは、沖縄県を除くと東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の首都圏、そして愛知県、滋賀県、福岡県の7都県に過ぎない。しかも、沖縄県の人口増加率は2.9%増で他府県と比較すると最も高くなっているのだ。
人口が増加すると、一般的には地域の小売業、飲食業などの分野の消費拡大につながる。さらに人口が増加すると住む家も増加する。現在は人口増加だけでなく世帯数も増加傾向にあり、マンション、アパートなどの建設関連にも波及している。このように人口増は景気動向にプラスになりやすい。
そして観光が好調という点が挙げられる。沖縄県内への入域観光客数は昨年度877万人で初めて800万人台を突破。今年度も、上半期(4~9月)で500万人を突破しており、昨年度のペースを上回っている状況で、好調さは持続している(図表1参照)。
特に入域観光客数増に大きく寄与しているのは外国人観光客の増加だ。アジア各地域との国際線の就航やクルーズ船の寄港の増加などもあり、2011年度に約30万人だった外国人観光客は、2016年度には200万人を突破。観光客全体に占める割合も24.3%にまで上昇している。
好調な観光客数を背景に、沖縄県の観光収入も増加傾向が続いている。日本に復帰した1972年度は324億円だったが、2016年度には約20倍の6603億円に到達。単純に比較はできないものの県民総所得に占める割合では観光収入は10%を超えるまで拡大している。
観光客の増加というのは、沖縄県内でモノやサービスを購入する方々が増加するということを意味している。その結果、県内での消費の拡大につながり、景気にプラスに作用しているのだ。
【図表1】入域観光客数の推移