沖縄で相次ぐ「米軍機事故」の責任を問う―事態局限に資する―【下】

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航空機の整備体系は事故防止の大前提

 

航空におけるトラブル発生は、当該航空機搭乗員だけではなく、地上の無関係な人命を損なう確率が高い。従って、飛行前点検では100%の安全を確認して飛行させるのだが、それでも事案が発生した。原因を追求し再発防止を図るため、先ず、段階的、かつ各種点検整備における「人的問題―確認ミス」の有無と「事故後の善処」を問わなければならない。

 

どうすればこの種の事案や航空大事故が未然に防げるのか。その第1要件は、「人的エラーの絶無」である。その対策を航空自衛隊(以下「空自」)の例で紹介する。

 

空自における航空機の点検・整備には、

 

(1)「部隊整備」:飛行前後の点検、調整・補給(燃料弾薬の補充/部品交換など)を

部隊能力の範囲で行う

(2)「支援整備」:補給・整備専門部隊が直接に支援して故障装備品などの交換・修理・

検査・検定・改修などを行う

(3)「補給処整備」:基地における整備能力を超える定期修理・臨時修理・オーバーホ

ール・検定・改修などを行う

(4)「外注整備」:基地及び補給処の能力を超え外注によって民間の企業(生産工場な

ど)が定期修理・臨時修理・オーバーホール・改修・検定などを行う

 

といった体系があり、それらは、装備などの特性に対応した実施間隔・作業項目などが定められた「計画整備」及び、故障発生のつど行う「計画外整備」に大別されている。

 

これらの実行は、段階・義務・責任が「装備品等整備規則」に定められ、航空機など保有部隊ごとに細分化された実施要領・基準を定め行うことが義務付けられている。

最も直接的に「安全の責務」を負うのは部隊であり、飛行場地区において、飛行直前の点検・整備・補給の役割を担った複数以上の整備員クルー、こうした多数のクルーを束ねる指揮官、そして最終的に触視確認するパイロットと飛行クルーに委ねられるのである。

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