市長の「受け入れ」表明はなぜ今だったのか~陸自配備に揺れる石垣島

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市議選と公明

 

防衛省は経過措置期間内の用地造成の着手を目指し、4業務を終え次第、用地取得の手続きに入るとみられる。
配備予定面積約46ヘクタールは市有地と民有地の割合が半々。民有地の大半を占めるショートコースのゴルフ場は、配備推進派の現職市議が代表を務める会社の所有となっているため、用地取得もスムーズに進むとみられる。
本年度内に民有地で着工すれば改正条例の適用を免れることになるため、防衛省は民有地を優先する可能性がある。これには配備先に隣接する開南集落の住民から「そもそも集落に隣接する場所を選定することがおかしい」と選定過程を疑問視する声が出ている。
一方、市有地については議会の議決が必要なことから、中山市長は12月定例会に議案を上程する可能性が高い。
議会の与野党の勢力はそれぞれ11人で同数。与党が議長を出しているため、与党の少数。野党には保守系もいるが、予定地の平得大俣地区への陸自配備には否定的。現段階では否決の公算だ。
中山市長が受け入れを表明したことで、9月9日投開票の市議選は、陸自配備の是非が最大の争点となる。与野党の勢力が市有地売却の行方を左右するため、与野党とも総力戦を展開することになる。
さらに、市長の1期目から協力体制を築いている公明党の動向にも目が離せない。今回の受け入れ表明に対し、公明石垣代表の大石行英市議が「重大な協定違反。独断と暴走の中山市政には非常に危機感を禁じ得ない」と痛烈に批判したからだ。
公明は、3月の市長選で協定書を締結。陸自配備問題を想定して「緊急、重要課題があるときは両者の間で協議を重ね、ケース・バイ・ケースで対処策を講じる」との文言を盛り込んでいた。今回のケースが「緊急、重要課題」に該当しているのに、何ら協議がなく、反故にされたと受け止めている。
ただ、大石氏は今期限りでの勇退を表明しており、後を託された新人と現職の2氏が「重大な協定違反」を犯した市長に対してどういうスタンスで臨むのか。今後の島内政局にも影響を与えるため、これにも注目だ。

 

<石垣島への陸上自衛隊配備計画をめぐる主な動き>

2015年11月26日 若宮健嗣防衛副大臣が石垣市役所を訪れ、平得大俣地区 への陸上自衛隊配備計画を明らかにし、中山義隆市長に協力を要請

2016年4月22日 防衛省が第1回住民説明会を開催

5月24日 防衛省が第2回住民説明会を開催

10月28日 石垣市が自衛隊配備に係る公開討論会を開催

12月26日 中山義隆市長が「詳細な配置案などを得るため諸手続きを開始することを了承する」と発表、防衛省に伝達

2017年3月27日 沖縄防衛局長が市有地への立ち入りを申請

4月5日  石垣市が市有地への立ち入りを許可

5月17日 若宮防衛副大臣が来庁し、施設配置案を提示

6月11日 防衛省が第3回住民説明会を開催

8月30日 中嶋浩一郎沖縄防衛局長が来庁、2018年度概算要求を伝達

8月31日 防衛省が概算要求に石垣島配備に136億円を計上

9月19日 石垣島に軍事基地をつくらせない市民連絡会が「島のどこにもミサイル基地いらない!平得大俣の市有地を基地に提供売却・貸借)などしないことを求める」署名14022筆を提出

2018年4月27日 防衛省が陸自配備にかかる調査業務などの入札公告を行うと石垣市に伝達

5月17日 沖縄防衛局が市有地への立ち入り申請を申請

5月31日 石垣市が申請を許可

6月 8日 沖縄防衛局が用地測量や補償物件調査など6業務を入札公告

6月11日 石垣市が全市民対象の意見交換会を開催

7月18日 中山義隆市長が、配備計画への協力体制を構築し用地取得や施設建設などについて適正に行政事務手続きを進めることを臨時庁議で確認した、と発表。

 

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