「渡りに船」の自民会派
市議会の勢力は与党13人(自民会派9人、未来会派2人、公明会派2人)と野党9人。公明から議長を出しているため、採決は与党12、野党9の21人で行われる。自民会派の1人が事前に賛意を表明していたので、あと1人が同調すれば可決できる情勢だった。
しかし、野党側の働きかけは不発に終わり、公明の石垣達也氏は本会議を退席。可決の見通しは立たず、野党側は苦肉の策として「どちらでもない」を加えた三択を動議で提出したが、後の祭り。あっさりと否決された。二択の原案は、仲間氏が賛同したため10対10の可否同数となったが、平良議長の裁決で否決された。
平良議長は、条例案を審議した総務財政委に所属している。初回の委員会には出席し、2回目の審議には「公平性」「中立性」の担保を理由に欠席した。なのに議長裁決で反対した理由に「議論不足」を挙げた。総務財政委員として審議に参加し、議論不足を解消する選択もあったのに、それをしなかった。「責任逃れ」との批判も受けている。
採決に際して与党側は「野党の大失態。聞く耳をもたないからこうなる。条例案をつぶしたのは野党だ」「条例をないがしろにしたのは野党だ」と批判の矛先を野党に向けた。
「国防や安全保障は国の専権事項。住民投票で問うのはそぐわない」との考え方が自民会派の主流だが、あれだけの署名数である。安易に切り捨てることはできない。だから野党側の強行姿勢は「渡りに船」、格好の口実だったのだ。これを裏付けるように住民投票の真っ正面から否定するような発言はほとんどなかったのだから。
残された道は議員発議による条例案の提出
「最後まで可決を信じていたのに」。金城代表ら若者たちは傍聴席で採決の様子をぼうぜんと見守っていた。
求める会は、住民投票に向けた運動の拠点として新しく事務所を構えたばかり。これまでは、配備反対運動を展開する団体の事務所を一部間借りしていたが、これでは中立性を確保できないと引っ越した。事務所での初仕事は、皮肉にも否決を受けての会見となった。
「これだけの声がどうして届かないのか。逆に何をすれば声が届くのか」、「市民の思いを反映させることがこんなに難しいのか」、「ショックで何を言っていいか分からない。悲しいし、信じられない」。
しばらく落胆の日が続いた。でもあきらめない。
求める会は2月7日、与野党の議員と相次いで面談した。
「人生では思い通りにいかないこともあるが、その結果を分析して次につなげたい」
与野党議員に質問を投げかけ、どうすれば実現できるか可能性をさぐった。これは今も続いている。
残された道は、議員発議による条例案の提出しかない。市議会の3月定例会は2月25日に開会する。「今後はきちんと議論して結論を出してほしい」。求める会の切実な訴えに、議員がどう応えるのだろうか。