基地配備は争点にならず? 「自衛隊」で揺れる石垣島

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一方、八重山防衛協会は市商工会、県建設業協会八重山支部など経済団体の代表を網らした「石垣島自衛隊配備推進協議会」を立ち上げている。

「領土、領海、領空を守り、市民の生命財産を守ることができる」「中国との交渉の余地はない」「防衛の空白地帯があってはならない」「自衛隊にいる子どもが島に戻り、一緒に暮らすことができる」「人口増につながる」として配備推進活動を展開している。

議場では保守系市議が反対派の主張を「真っ赤なウソ」、「お花畑に住む平和ボケ」とやゆしたり、侮辱したりするような発言も飛び出すなど、反対派への攻撃はエスカレートする様相を呈している。
10月22日投開票が行われた衆院選沖縄4区の石垣市では、陸自配備問題が注目された。「陸自配備は至極当然」とした自民公認の西銘恒三郎氏=公明推薦=が9919票、「陸自配備を推進する」と主張した幸福実現党の富川全泰氏が728票。合わせて1万647票を獲得し、陸自配備反対・阻止を訴えた無所属の仲里利信氏の9098票に1549票差をつけた。

陸自賛成が反対を上回ったかのようにみえるが、選挙期間中、自民側は争点化を回避していた。配備に否定的な意見が多いとされる公明党への配慮があったからだ。知り合いの公明支持者は「それ(陸自配備問題)よりも選挙に勝つことが大事」と言った。自公連立政権の維持を優先したのだ。運動にかかわった自民系市議の1人もこう打ち明ける。

「こちらは陸自配備問題を争点化していないので何も訴えなかった。自公政権を維持し、経済をさらに活性化させ、沖縄を振興させようと訴えてきた。陸自配備には公明の中に否定的な人もいたし、保守にも異論がある人もいた。これを争点化したら、そういう人たちが差し引かれるので、私は負けていたと思う」
選挙結果で陸自配備を容認する民意が出たとは言えない。自衛隊配備をめぐる決戦の舞台は来年3月の市長選に持ち越し。このとき市民の意思がはっきりと示されるだろう。

(八重山毎日新聞社提供)
石垣島の自衛隊基地配備予定地 (八重山毎日新聞社提供)

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