戦略と実態の「かい離」のツケが沖縄に
オバマ政権の軍事予算削減は、沖縄での米軍機事故の頻発につながった。民用地での海兵隊機の墜落・不時着事故が、沖縄で相次いで報道されたのは、2017年。だが、在沖米軍全体の飛行事故件数を見ると、オバマ政権が歳出強制削減措置を発動し、軍事予算が削減された2013年から、急激に事故件数が増加していることが分かる。
トランプ政権に代わり、軍事予算が増大しても、後継機の開発が遅れていて、老朽化した機体を引退させられないため、在沖米軍の飛行事故は続いている。
在沖海兵隊の一部の国外移転は、事故への対応策になりうるはずが、グアムでの反対運動などで遅れている。しかも、海兵隊のトップは、米議会に対して、在沖海兵隊の国外への分散移転を見直すよう、提言している。
こうした状況で、2018年12月から、日本政府による、辺野古沿岸の埋め立て作業が始まった。しかし、沖縄県の試算によれば、2019年7月時点の埋め立て工事の進捗は、全体の約2.8%程度だという。また、改良工事が可能かどうか不明な軟弱地盤の存在が発覚した、大浦湾側の区域は、全体の面積の4分の3を占めるが、まだ着工していない。
辺野古沿岸工事の映像の迫力に反して、工事は止められないどころか、まだ、本格的に始まってもいないのだ。