【おすすめ3点】
■沖縄の米軍基地を「本土」で引き取る!―市民からの提案(同編集委員会編、コモンズ)
2015年以降、全国10カ所に広がった「沖縄の米軍基地を本土で引き取ろう」という運動の経緯や思いをメンバーらが執筆。
■紙ハブと呼ばれた男―沖縄言論人 池宮城秀意の反骨(森口豁、彩流社)
琉球新報社長などを務めた池宮城秀意の生涯をたどる1995年出版の評伝「ヤマト嫌い」(講談社)に書き下ろしなどを加え再編集。
■沖縄と核(松岡哲平、新潮社)
米軍統治下の沖縄への核配備の実態を検証した2017年放送のNHKスペシャル「スクープドキュメント 沖縄と核」を書籍化。
日本中枢の既成概念
外交・防衛政策の要は周辺国との信頼醸成だろう。だが、戦後日本はほぼ不断に対米関係を深めてきた半面、東アジアの隣国とは成熟した関係を構築できないまま、意思疎通のパイプはむしろ先細りしている感すらある。そのアンバランスが今、日韓外交の機能不全に顕著に表れているのではないか。
筆者にはこの構図が、内政面における沖縄県と政府の「辺野古」をめぐる対話断絶とオーバーラップして浮かぶ。
米国のトランプ大統領が「日米安全保障条約は不公平」と公言し、条約見直しをちらつかせたのは、6月末の20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)のタイミングだった。7月にボルトン大統領補佐官が来日した際には、在日米軍駐留経費の日本側負担の大幅増額を要求したという。
こんな露骨な「恫喝」は、トランプ大統領の就任前には考えられなかった。だが過去を振り返れば、日本に政治・経済上の譲歩や改革を迫る米国の「ガイアツ」の背景には「安保」があった。米国の軍事力に依存しなければ日本は国家として存続できない―。そんな既成概念が日本中枢に刷り込まれていることを米政府は熟知している。
現状はどうか。北朝鮮やイランをめぐる対応も米国に従えば安泰というわけではない。それでも、政府方針は「強固な日米同盟」に傷をつけないことが絶対条件になる。 中国や北朝鮮の「脅威」は全国に浸透したが、他国の軍隊が駐留を続ける根源的違和はほとんど語られなくなった。
結果として、沖縄の負担軽減は進まない。