あまり知られていない名護市議会の意見書と決議

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名護市議会が可決した意見書

昨年9月26日、辺野古区が所在する名護市議会が、「新しい提案」の陳情を受け、辺野古新基地建設中止と普天間基地の県外・国外を公正で民主的な手続きにより解決することを求める意見書を賛成多数(賛成13、反対11、退席1)で可決した。なお、新聞報道によると陳情は2019年9月6日と20日に軍事基地等対策特別委員会で審査され、採択されたが、意見書を本会議に提出する場合の慣例である全会一致にならなかったため、委員会としての提出は見送られたが、市政野党が本会議に提出したという。

辺野古区所在の当事者である名護市が採択した意味はとても大きい。しかし、この事実はあまり知られていない。特に本土の報道では一度も取り上げられていないように思う。
 

私が責任者を務める「新しい提案実行委員会」では、2019年3月に名護市も含め全国1788の都道府県及び市町村に対し、米軍普天間基地の沖縄県外・国外移設を国民的議論により民主主義及び憲法に基づき公正に解決すべきとする意見書の採択を求める陳情を行い、現在まで、全国35の議会で陳情の採択、意見書の可決がされている。また、採択・可決には至らなくても、それを求めて議員に働きかける全国各地の市民の姿が広がっている。特に辺野古区が所在する名護市議会が意見書を可決したのはとても重要な動きである。

実は、名護市議会に対しては2017年9月にも同様の意見書の採択を求める陳情を行っている。委員会での陳情者の趣旨説明の機会があり、私が新しい提案の説明を行ったところ、名護市議会議員の岸本洋平委員が、「とても感銘を受けた、ぜひ採択したい」と述べてくれていた。残念ながらその時は採択まで至らなかったが、今回、同氏が意見書可決まで尽力した。同氏によると今回の可決は辺野古新基地に反対するだけではなく、普天間基地の代替案について民主主義としての解決を具体的かつ論理的に示したことが大きかったという。

なお、代替案というと、移設先を示すことを想像する方が多いが、そうではない。代替地という土地の選定の問題ではなく、「認識」・「環境」の問題として提起することの重要性を述べている。

つまり、「認識」とは軍事的に沖縄でなくてもいいということであり、「環境」とは普天間基地の県外・国外(無条件撤去も含む)という柔軟な議論ができる状況をいう。全国でその「認識」と「環境」が作られれば、もはや「辺野古が唯一」は瓦解する。

名護市議会が可決した意見書

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