あまり知られていない名護市議会の意見書と決議

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沖縄県議会で名護市議会に続く意見書可決を

では、「沖縄に住む人々」と「本土に住む人々」では、何が平等でなく、差別されているのだろうか。それは「自由」であり、自由とは、憲法13条の幸福追求権であり、憲法前文の平和的生存権などの基本的権利である。

沖縄の人たちが、「国土の0.6%しかない沖縄に、70%の米軍基地」と訴える背景にある理性的基礎は、面積の問題ではなく、「自由」の問題を訴えているのであり、本土と沖縄における「自由の格差」を訴えているのである。つまり、この問題の本質は「自由の平等」という人権の問題なのだ。

 「権利」は歴史的に獲得されてきたものであり、「自由」拡大の歴史である。

この人権を守るためにこそ民主主義があり、地方自治がある。憲法97条が最高法規として「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試練に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。」と定める所以である。

これまで、私たちは、沖縄県議会に対して、新しい提案に基づく意見書可決を求める陳情を2017年6月、2018年10月、2019年3月に行っている。また全国の司法書士約2600名で構成し「市民の権利擁護及び法制度の発展に努め、もって社会正義の実現に寄与すること」を目的とする全国青年司法書士協議会も同様の陳情を2019年5月に行っている。

しかしながら、沖縄県議会では、現在まで継続審議という名の「店ざらし」がされている。担当委員会である米軍基地関係特別委員から、委員会採択では意見書を本会議に提出する場合の慣例である全会一致にならないからという声も聞こえてくるが、民主主義において全会一致はむしろ異例の事態である。

名護市議会のように、憲法16条で保障する請願権と同様の趣旨を持つ市民の陳情をしかるべく担当委員会で審査し、採択し、全会一致にならず委員会としての提出を見送っても、賛同議員による本会議への提出をすべきではないだろうか。

名護市議会に続き、沖縄県民の代表たる沖縄県議会こそが県民投票の結果を受け、普天間基地の移設先を沖縄に押しつけるのではなく全国の問題として民主主義にのっとり解決を求める新しい提案の意見書を率先して可決し、政府及び国会のみならず全国の都道府県及び市町村に訴えてほしい。

全国の自治体もこれに応えて意見書採択の動きを広げてほしい。

そして、2013年建白書東京行動のように、県民投票を受けた沖縄の民意を全国に訴えるため沖縄の首長、議員、国会議員でまとまり、全国の賛同する議員等へ呼びかけて東京行動を起こすべきだと考える。

政党やイデオロギーに関係なく、一人一人が「責任」と「尊厳」の担い手として、この名護市議会の「提案」に応答してほしいと切に望む。

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