対中国の「ミサイル要塞」にされていく南西諸島――国民を「捨て石」にする戦争を繰り返してはならない

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8、「捨て石作戦」など不可能

日米首脳会談後の共同記者会見(首相官邸HPより)

沖縄のアメリカ海兵隊普天間飛行場の全面返還が合意されて25年になる。この間、県内の米軍基地はあまり減らず、逆に自衛隊ミサイル部隊の配備が進むなど、沖縄全域の「要塞化」が進んでいる。背景には、日本とアメリカの「軍事的一体化」があり、名護市辺野古で建設中の埋め立て基地も「一体化」という点で共通している。

 現段階では想定しにくいとは思うが、アメリカと中国が紛争に突入すれば、戦域の目の前で米軍基地を抱えている日本は真っ先に攻撃を受けることになる。そしてその多くは沖縄に集中している。基地が攻撃目標になることは当たり前なのに、そのうえ中国を対象にしたミサイル部隊が南西地域に相次いで配備され、その先に何が起きるのかは国民には知らされず、議論もまったく行われていない。先の大戦のように国民を見殺しにする「捨て石作戦」などできるはずはないし、やってはならないが、最悪の事態を考えれば、沖縄・日本がアメリカから「捨て石」にされないとも言い切れない。

この問題は、日米安保体制を支持するか否か、自衛隊の存在を認めるか否か、とはまた別と考えるべきだろう。国の防衛力としての自衛隊を認めることと、中国軍攻撃を想定したミサイル部隊の南西諸島配備を認めることとは、まるで意味が違う。「防衛力の保持は認めたから、あとは防衛省・自衛隊でお好きに」というわけにはいかないのだ。

 日本が中国を相手に戦争をするなど考えられないし、あってはならない。それによって被る被害はあまりにも大きすぎる。日米首脳会談の共同声明には、中国を念頭に「台湾海峡の平和と安定の重要性」が盛り込まれたが、万一、台湾有事が起きたとして、米中の紛争に参戦せざるを得ない状況を考えるのであれば、沖縄をはじめとして日本全体の国民の安全をどのように守るのか。アメリカと約束する前に、まず、そこから国民全体で議論しなくてはならない。中国による香港、新疆ウィグル自治区での弾圧や人権蹂躙は戦争で解決できる問題ではなく、国際世論の結束と国際機関による調査、そして今こそ外交の力が求められている。

「対米従属」といわれるアメリカとの付き合い方を、敗戦国・日本はどこまで続けていくのか。沖縄、南西諸島で進められる「要塞化」を検証するとともに、将来にわたる日米関係を再検討すべき時に来ているのではないだろうか。

【本稿はnoteより転載しました】

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