向き合うと、背筋が伸びる思いがする人がいる。私にとってノンフィクション作家の保阪正康さんはそんな存在だ。
この夏、その保阪さんに、私が担当する番組『報道1930』に終戦企画で出演していただいた。ゲストは保阪さんのほか、今年1月に亡くなった半藤一利さんの孫で、出版社の編集者である北村淳子さん。北村さんは、半藤さんの最後の著書『戦争というもの』を編集者として担当した。
ともに昭和史研究の第一人者である保阪さんと半藤さんが、どれだけ信頼し合っていたかは言うまでもないだろう。その半藤さんが亡くなって半年しかたっていないのだ。81歳の保阪さんと、29歳の北村さん、私はスタジオに並んで座るふたりを前に、番組冒頭から不覚にも涙腺が緩みそうになっていた。