具志堅隆松さんと迎える6・23 (4) 戦跡保存と遺骨収集の長期的展望

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当初私は、このふるさと納税による県有地化構想には複雑な思いを抱えていた。沖縄戦跡が壊されようとしているのは、辺野古新基地建設や那覇軍港移設に伴う浦添西海岸埋め立て反対といった軍事需要を国が作り出しているからだ。このことに抗う負担を沖縄県に押しつけてしまうことに、私は違和感を抱いていた。具志堅さん自身、遺骨土砂問題に関しては、「業者ではなく需要を作り出した国が悪い」と強調してこられた。国が作り出した需要に応じる県内業者の私権を制限することを沖縄県に求めることは、沖縄内部での利害対立を深めるように思えてしまう。

しかし、具志堅さんは、「戦没者に対する思いがない国にアリバイ作りをされるくらいなら、戦没者の子孫である県庁職員に(戦跡保存や遺骨収集を)やって欲しい」と話す。戦没者遺骨収集は国(厚生労働省)が責任を持つことになっているが、具志堅さんは「(戦没者のご遺骨が含まれる土砂で基地を作ろうとする)国が人道上誤ったことをしていることを、県に諫めて欲しい」との考えだ。沖縄戦跡は業者や地権者だけでなく、県民全体にとっての財産だとも話す。5月25日に戦跡の景観保護を巡って環境省と意見交換をした際、私は環境省の無責任を批判する記事を書いたが、このときの環境省の回答の裏を返せば、「沖縄県が自主的に戦跡保護のための策を打つことを県の自治として認める」とも解釈できる。ふるさと納税による未開発緑地帯の県有地化を後押しする全国世論を作ることは、国の非人道的横暴に対する沖縄県の抵抗力を強めることに資するかもしれない。具志堅さんは、「国民が、政府がやろうとしていることを看過するなら、政府と同罪になる」とも話す。勿論一番重要なのは、軍事基地の需要そのものをなくすことだが、日本中の人々が戦跡をどれだけ大切にしているか可視化することも、軍事のための開発をなくす一歩になるのではないだろうか。

2番目に入ったガマで出たご遺骨と遺品。軍民が同じ壕を使っていたことが判る

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