沖縄ビジネス展望~活況を呈する飲食業界~

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物流コストの壁

 

一方、従来までの県内の飲食店からすると、お客を奪われてしまっている状況だ。ある県内飲食店経営者は、「1皿100円の回転寿司店は、リーズナブルな寿司だけでなく、ジュースやデザートもある。その結果、学校帰りの学生たちも回転寿司店に流れているように感じる」と話す。
また、県外の大手飲食チェーンは、少ない人数で、いかに効率よく店舗を運営するかといった点にも数多くの工夫がみられる。「あの規模の店舗をあの人数で運営できるのはすごい。人数が少なくてすむので県内飲食店よりもアルバイトの時給も高い」と別の県内経営者は指摘する。県内の飲食業界は、顧客の奪い合いだけでなく、人材獲得競争でも激しさを増しているのが実情だ。

ちなみに、これまでもマクドナルドをはじめ大手飲食チェーン店舗は県内に数多く存在するが、全国的なチェーン店でも沖縄県に出店していない飲食店も多い。たとえば、ファミリーレストランのデニーズやサイゼリヤなどは県内には出店していない。
出店していない理由はいろいろあるだろうが、その理由のひとつとして物流コストがあげられるだろう。県外飲食チェーン店が沖縄県内に出店したとしても、県内で調達できない食材などは輸送するしかない。そうなると日本本土から沖縄地域は遠いので、日本本土から食材などを運ぶとなると、どうしても輸送コストが割高になってしまう。輸送コスト分をカバーするためには、県内の店舗での売上をかなり伸ばさなければならないが、大手の県外飲食チェーンでも、従来までは、出店に不利な条件を覆すほど、売上が伸びるとは考えられていなかったのであろう。

したがって、この数年の大手回転寿司チェーンの相次ぐ沖縄県への出店は、いろいろ不利な条件はあるかもしれないがそれ以上に沖縄地域の市場性を有望だと判断していると言えよう。前回(沖縄ビジネス展望~「好調経済」の内実を問う①~)、好調な沖縄県経済の要因として人口の増加と観光客数の増加を挙げたが、実際、県外の大手飲食チェーン店にとっても沖縄地域は魅力的な市場として映りつつあるのだ。さらに、沖縄タイムスの報道によれば、牛丼チェーン「松屋」を運営する松屋フーズもとんかつ店「松のや」をことし5月にも出店させる予定だという(2018年2月23日紙面)。

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