沖縄ビジネス展望~活況を呈する飲食業界~

この記事の執筆者

沖縄県内の飲食業の市場規模は…

 

沖縄県内の飲食業界の市場規模は1500億円程度といわれている(沖縄県『業界動向調査【飲食業】』2015年3月)。経済センサス活動調査より推計してみると、2012年の飲食業の市場規模は1498億円となっている。
また、別の統計データを活用しての推計ではあるが、県内の観光関連の調査と家計調査を基に算出してみると、2016年の県内の飲食業の市場規模は2000億円程度だ。入域観光客数、特に外国人観光客の急増を受けて、この数年、市場規模は急激に増加しているといえる。この推計方法だと、2013年は1500億円台だが、2016年は2000億円台まで急増しているのだ。
ただ、この推計においては、観光客の飲食関連消費にはホテルにおける飲食も含まれており、実感としての金額よりは若干過大な金額となっている可能性がある。その分は考慮する必要があるものの、県内の飲食業の市場規模の拡大の多くは観光客に負っていると考えられる。
この市場規模に魅力を感じて県外の大手飲食チェーン店が進出してきているが、もちろん、県内事業者も負けてはいない。県民が好みそうなメニュー開発やサービス向上に努めている飲食店も多い。
最近だと、200グラムのビーフステーキを1000円前後で食べることのできる「1000円ステーキ」が流行している。米国施政権下時代の名残なのか、ステーキを好んで食べる県民が多いことから「1000円ステーキ」は、県民にとってはとても魅力的だ(わたしも新規店がオープンするとついつい食べに行ってしまう)。
沖縄タイムスによれば2016年8月には那覇市の繁華街で15店舗以上のステーキ店がしのぎを削っているとされているが(2016年8月17日紙面)、現在は老舗ステーキハウスも「1000円ステーキ」に参入してきており、さらに増えているだろう。
また、感覚的ではあるが、夜、お酒を飲んだり食べたりする飲食店に関しては、県外チェーン店よりも県内事業者の店舗のほうがまだまだ活気があるように感じる。沖縄県内の飲食店の業種別店舗数の特徴は、「バー、キャバレー、ナイトクラブ」と「酒場、ビヤホール」の店舗数の割合が全国平均よりも高い点があげられる(2014年経済センサス基礎調査を参照)。お酒を飲んだり食べたりする飲食店については、県内事業者のほうが比較的うまくニーズを捉えられているのではないだろうか。

この記事の執筆者