「本土の民意」の責任
設計変更は、公有水面埋立法で知事の承認事項と規定されており、知事の判断次第で工事の進捗に影響を与えるのは必至となる。政治的判断が問われる局面で国が警戒するのは、知事に新基地反対の民意の後ろ盾がどれくらいあるのか、ということだろう。
日米安保にかかわる問題について、司法が踏み込んだ判断を示すことは残念ながらこの国ではほとんど期待できない。日米の政策変更を促すポテンシャルは、民意に裏打ちされた政治の力しかないと考えている。そのためのカードは県側にまだ残されている。
筆者は沖縄の有権者に、知事選後に備えよ、と呼び掛けたい。今、必要なのは分裂ではなく結集であり、問われているのは「新基地を止めたい側」の大局観だろう。
ここまで「沖縄の民意」を軸に論じてきたが、新基地建設を強行する政府を支えてきたのは「本土」の民意である。沖縄県民に分断を強いてきた国の政策を封じる責務は、「本土」の側にあることを最後に強調しておきたい。
【本稿は「情報労連リポート」2018年5月号掲載記事を一部加筆の上、転載しました】