沖縄県知事選から見る日本政治

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玉城デニー氏の大勝となった先日の沖縄県知事選挙からは、昨今の日本政治を取り巻くさまざまな課題と、変化の予兆を読み取ることができるように思われる。以下、『日本再生』(「がんばろう、日本!」国民協議会)編集部による筆者へのインタビューに、加筆・修正を加えて考察をしてみた。

 

自公連携の効果に疑問符

 

ー予想外の大差はなぜ?

宮城 今回の沖縄県知事選挙は、基礎票の積み上げでは佐喜真さんが有利と言われていましたが、フタを開けてみれば予想外の大差で玉城デニーさんが勝ちました。この票差について選挙後の沖縄では、「佐喜真さんでは、本当に政府の言いなりになってしまうのではと不安に思った人が多かったのではないか」といった声を耳にしました。

これまで沖縄の県知事は保守系であっても政府の言うことを聞いているだけではダメで、沖縄の現状について政府に対してモノ申すという姿勢が求められてきたといえます。

しかし今回、自民党、公明党が全面に出た選挙戦も含めて、佐喜真さんからはそういう姿勢が感じられなかったのではないでしょうか。選挙戦の最中、選挙カーの上に佐喜真氏が真ん中、左右に菅官房長官と小泉進次郎氏で演説という場面が象徴的でした。当然、佐喜真氏が両者を従えているとは思えず、逆に両者に挟まれ、「自分の意思でモノが言えるのだろうか」と見えたのではないでしょうか。政府に対して言うべきことを本当に言えるのか、という不安を覚えた人が多かったことが、あれだけの票差になった一因だろうと思います。

 

ー沖縄県知事選と自公連携について

宮城 知事選の結果は、改めて「新たな米軍基地負担は受け入れられない」という沖縄の民意を示したものだといえるでしょう。この民意をどう受けとめるのかが、安倍政権に問われます。またこの民意を背景に、玉城知事がどのように政府や本土の世論に働きかけていくか。全国を対象にした世論調査(『朝日新聞』10月13-14日)では、辺野古への移設方針を「見直す必要がある」が50%、「必要はない」が30%ですが、1995年の少女暴行事件が普天間返還(「移設」ではなく)のそもそもの原点であること、辺野古新基地以外の解決策が具体的に示されるなど十分な補足情報があれば、「移設見直し」を推す声は、一層多くなるでしょう。

また、公明党と創価学会が組織を挙げて、自民党以上に全力投入をしたにもかかわらずこれだけの大敗となり、支持者からも3割程度は玉城氏に流れたといいます。自民党以上に衝撃は大きいのではないでしょうか。

過去の沖縄県知事選では、1998年に現職の大田昌秀知事を破って稲嶺恵一氏が当選した際、それまで大田支持だった公明党が実質的に自民党と組んで稲嶺氏への支援にまわり、それが全国的な自公連立に向けた試金石となりました。20年後の今回は逆に、これまで絶大だった自公連携の効果に疑問符がついたわけですが、この選挙結果が来年の参議院選挙や憲法改正をめぐる議論など、今後の国政に及ぼす影響についても注視したいと思います。

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