台北市内で11月下旬に開かれたふたつのイベントで、台湾と沖縄のつながりを意識させられた。
台湾最大の旅行イベント、台北国際旅行博(台湾観光協会主催、ITF)と、沖縄のカフェ8店舗が台湾のコーヒー好き向けに個性を競う交流イベントである。そこで出会ったのは、個人旅行で沖縄へやってくる台湾の人たち向けにソーシャルネットワークサービス(SNS)でアピールしている紅型工房と、台湾で流行しているカフェというカルチャーを接点にして交流を強めようとする人たちの姿だ。
台湾は、沖縄向けに最も多く観光客を送り込んでいるエリア。沖縄観光は年間入域1000万人をうかがうものの、「地元住民が観光の好影響を享受できていない」(2018年11月24日付「沖縄タイムス」7面)という課題も指摘される。「個」やショップレベルという小規模な結びつきがその処方箋につながっていくかもしれない。
台湾メディアが政府統計を基にまとめたところによると、台湾に輸入されたコーヒー豆は2016年に3万0327㌧で、06年の1万0765㌧ の2・8倍に達した。台湾はカフェブームが到来していると言われ、スターバックスなど大手のコーヒーチェーンから若者が独自の店舗を開業するケースまでさまざまなカフェが登場している。
沖縄では、豆ポレポレ(沖縄市)の仲村良行オーナー(39)が17年の大会でコーヒー豆のロースター日本一に輝くなど、沖縄でもカフェは盛り上がりを見せている。仲村氏は「台湾のコーヒーは質が高く、飲んでおいしい。もともと茶の文化があり、味に対して繊細な感覚を持っているからかもしれない。気持ちもオープンでフレンドリーだ」と語る。