「個」で結び付くというあり方~ 好循環の観光に向けた処方箋

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FBでゲストとの距離を縮める

 

一方、ITFの沖縄ブースで紅型体験のコーナーを開いた城紅型染工房(浦添市)の山城信吾さん(35)は1年半ほど前からフェイスブック(FB)で情報発信を行ってきた。沖縄を訪れる観光客に自分の工房まで足を運んでもらうにはどうすべきか。そう考えて参加した観光関係のセミナーでノウハウを学び、始めたものである。

FBでは、紅型のことももちろんアップするが、それ以上に意識しているのは沖縄の情報。沖縄の空を撮影した写真をアップしたり、沖縄のテレビで報じられる天気予報の画面を撮って上げたり。「ローカルな情報は読まれるようです。沖縄のメディアで報じられる地元ネタを英語や中国語で簡単に訳してアップすることがあります」と山城さん。こうした投稿が台湾の沖縄好きたちの間でシェアされていき、FBではあくまでわき役に据えている本業の紅型も露出が増えていっているという。

ITFには、OCVBの勧めで昨年初めて参加し、「会場で知り合った台湾人がその4日後に浦添の工房を訪ねてくれた」ということがあり、台湾に出向いてPRする取り組みに手ごたえを感じた。今年のITFにはみずから進んで参加し、FBで知り合いになった台湾人が手土産を持ってわざわざ会場を訪ねてきてくれた。

ただ、台湾の観光客が紅型体験のために何度も沖縄へ来てくれるとは思っていない。「米国人など沖縄に住む外国人は、一度体験すると、今度は子どもを連れて、次は本国から友人が来た時に一緒にという具合にリピートしてくれる」。沖縄在住の外国人向けにPRを強化し、そこへさらに台湾や香港など近い外国からやってくる人たちを取り込んでいきたい―。FBに沖縄情報を投稿し、ゲストとの距離を縮める日々は続く。

(2018年11月25日付「沖縄タイムス」の記事を加修正しました)

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